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思うよりも行動で示せ
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朝起きると、隣に新は居なかった。
ベッドの横の机に書き置きが置いてあって
それに目を通すと、思わず笑ってしまった。
“ くそ眼鏡へ
俺は決戦に向かうので帰る。
起きたら薬飲んでちゃんと飯食え ”
初めて見る新の字。
荒っぽい中に、どこか可愛げがある。
「ふっ、なんだよ決戦って。」
新らしいな。少し馬鹿っぽいとこ
ペラリと裏をめくると
そのにも何か書いてあった
“ 昨日は熱あるのに無理させて悪かった。”
そう書かれていた
「なんで新が謝んの?」
無理というか、あれは俺の欲を新に押し付けただけなのに。
風邪だからって、自制心をコントロール出来なくて。
ほんと、ガキだよな俺は。
待つって言ったのに、あっさりと破ってしまった。
「また新に無理させたかな」
必死に俺の言うこと聞いて
普段なら絶対にしない事を
絶対に言わない事を、新は昨日した
「・・・してくれた。のか」
手紙を置いて、時計を見る
「まだ6時か。だいぶ休んじまったし、
仕事溜まってんな・・・」
新の事があるから、樹は今は恋敵
でもこれ以上は、あいつが言ったみたいに、
私情で仕事に影響が出るのはダメだ
「熱もねぇし。行くか」
ベッドから起きて、学校へと行く準備を始める。
その途中、テーブルにあったレジ袋に目をやった
“ お前の為に買ってきてくれたんだろ? ”
あの時の、新の言葉を思い出す
「・・・俺の為、ね。」
袋の中には漢方薬やら粉薬
栄養剤にビタミン剤、
その他諸々沢山入っていた
全部、俺が飲めないもの
「俺の事、何も知らねえくせに。
今更母親ぶってんじゃねえよ」
袋を荒く閉じ、そのまま俺は家を出た
学校に着いて、教室に鞄を置き、
いつものようにそのまま生徒会室に向かう。
扉の前に立つと、何やら中から
慌ただしい物音と声が聞こえた
「新?」
咄嗟に扉を開くと、
このには新に詰め寄る樹の姿
ビリッ、と体を何かが走る
新のシャツを剥ぐり、新の腰に手を回して
キスをしようとする樹に
俺はあの時と同じ言葉を言ってやった
「白昼堂々、セクハラしない。」
そう言うと、新はゆっくりと俺を見て
樹は横目で俺を睨んでくる。
「まさか、このタイミングで来るとは思ってなかったよ。」
ふっ、と笑みを零して新から体を離した。
まさか、新がここに居るとは思わなかった。
迂闊だった。樹と二人きりにさせるなんて。
新はなんでこんな早くにここに?
手紙に書いてあった決戦のことか?
「樹、自分で言っておいて何してんだよ」
だめだ。むかつく。
新が樹に何の話をしてたのか
俺が来るまで、樹が新に何をしたのか。
それを考えただけで腹の中がムカムカする。
「そうだね。僕も少し冷静にならなくちゃ。」
胸を撫で下ろして、樹は椅子に腰を掛けた
「眼鏡・・・」
新は顔を真っ赤にして
慌てて服を着直した。
「どうしようね。
いっそ、解禁しようか。」
そんな新を見た樹がまた口を開く
「セクハラ。解禁しちゃおうか」
にこりと、いつものように笑ってそう言った
「は?」
「だから成海もいいよ。僕が許すよ。」
「何言ってんだよ」
「ただし、僕の前でだけ。ね?」
笑顔のまま、樹は首を傾げてそう言った
「・・・・お前」
「で、」
俺が言葉を言いかけた時、
樹は真顔に戻って、何かを呟いた
「君はいつからそこに居たの?」
「?」
樹の視線の先に目をやると、
それは生徒会室のソファ
不思議に思い、近付いてみると
「ふふふっ。あら、バレちゃいました?」
赤い眼鏡をくいっと上げ
にやりと笑う女
「誰?」
あー、なんかこいつ嫌なにおいする
「舞園。」
樹がそう名前を呼ぶと、
この舞園という女は勢い良く立ち上がった
「はぁーい!演劇部部長、舞園立花でぇす!
そこの1年君が来た時に一緒に入って来ましたよ!えへっ」
テンション高・・・
あー、俺の嫌いなタイプの奴だわ
にしても、演劇部・・・部長?
「もう、あたしの事は気になさらずにぃ、
ささ、どうぞ続けて下さいっ」
嫌なにおいね。腐だなこいつ
「何を言ってるの。用があってここに来たんでしょ。」
「うふふっ。その通り。ジャジャーンっ!」
どこからそんな大きな紙を出して来たんだと
言ってやりたかった。
舞園は樹の前に何やら大きな文字が書かれた紙を広げた
「昨日ようやく決まったの!今年の生徒会と共同して演じるシナリオ!」
舞園はまた声を大きく張り上げて
その大きな文字を指差した
「・・・悲劇の愛・・・白雪姫?」
ボソっと、新がそれを読み上げる
「そうよ!今年はこのシナリオで行くわ!」
高校の文化祭で白雪姫・・・ね。
王道だな。
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