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誰が王子?
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放課後になって、舞園がこれまた
テンションMAXで生徒会室に来た。
でっかい箱を持って来たかと思えば
来てからずっと、にやにやしている。
演劇なんてしたくねえのに。
こういう時に、心底生徒会が嫌になる。
俺達が集まって、15分後に新と大崎が来て
舞園が早く役を決めようと熱くなっていた。
箱の中に役が四人分。
その中に確実にあるのは王子役
ここまでの流れで、
もうお分かりだろうけど。
演劇の台本元は白雪姫。
ということは、おそらくはその
白雪姫役も入っているはずだ。
「じゃ、最初は新が引いて?」
樹がそう言って、新は
嫌そうに糸を引いた。
「・・・・・え」
そして、引いた紙を見て
新は顔を真っ赤にした。
「ちょ、俺嫌です!部長!」
紙を覗こうとしたけど、
新がくしゃりと紙を握り締めて見れなかった。
何やら必死に舞園に別の役がいいと訴えている
「えぇ〜?なんでですか?
何役引いてしまったんです?書記君❤︎」
新のその反応に、舞園は少し楽しそうだった
「嫌ですよ俺!他のがいいです!
木!木の役とか無いんですか!?」
なんだそれ。そんなのあるわけ
「駄目ですよ!木の役はもう
演劇部の方で決まってます!」
あるのかよ。
「〜ッ!!」
舞園の返しに、新は黙ってしまった。
まぁ、新の反応を見て
おそらく姫役を引いてしまったんだろうと検討がつく。
白雪姫と王子にはキスシーンがある。
・・・となれば、
王子役を引くのはもちろん
俺だな。 (僕だね) ←樹の心の声
「さぁ、次は誰が引きますか?」
くるりと俺達を見て、舞園はそう言った
「三人いっぺんに引こうぜ。」
「いいね。そうしよう」
俺がそう提案すると樹も賛成してくる。
新はなんで俺の時だけ という目で睨んで来た。
まぁ待てよ新。
お前の相手役が務まるのなんて
俺しかいねぇんだから。
何故か変な自信が湧いてくる。
「じゃ、せーの」
そして、三人で、残りの糸を引いた
「で?で?どうなりましたか?❤︎」
キラキラした目で舞園が詰め寄ってくる
紙の裏から字が透けて見える。
王の文字。来たぜ。
「はっ、王子役は」
「僕だね」
「・・・・・・え」
は?なに?王子役は俺だろ
ぴらりと二つ折りになった紙をめくると
俺の背後に落雷が落ちた気がした
「・・・・王妃役」
「あら❤︎そうなりましたか❤︎」
紛らわしいんだよ!!
くそ、やられた・・・
「・・・樹」
「残念だけど、新の相手役は僕が貰うよ」
見せつけるかのように、
王子役と書かれた紙を見せてくる
ムカつく。心底ムカつく。
なんなんだよくそっ
「あ、あの・・・・」
樹と睨み合ってる中、
大崎が何故か申し訳なさそうに口を開いた
「ん?大崎は何役になったの?」
満面の笑みの樹がそう言うと
大崎は引いた紙をこちらに向けた
「すみません・・・僕が、姫役です」
「・・・・・ん?」
笑顔のままの樹の後ろにこれまた
落雷が落ちるのが見えた。
はっ、ざまぁねえぜ樹。
大崎、ナイスくじ運。
よくぞ樹の企みを阻止してくれた。
「あれ、ってことは新は一体何役を引いたの?」
樹が新にそう言うと、
新はビクっと体を跳ねらせた。
そういや、他に主な役とかあるか?
何をそんなに嫌がってたんだ?
「新、紙見せて」
「っ、嫌だ!」
必死にまだ紙を隠している
何をそこまで嫌がる?
「新、これは生徒会としての正式な仕事だよ。
お願いだから嫌がらずに引き受けてはくれないか?」
優しくそう言ったのはやっぱり樹だった。
すると新は下を向いて暫く黙り
カタカタと震えながら紙をこちらに向けて
小さく口を開いた
「こ、小人役・・・です」
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