アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
少しずつ 溶け合う
-
なんだか、体がふわふわする。
甘いにおいに体が包まれて
凄く気持ちがいい・・・
あれ、つか俺何してたっけ?
確か・・・大崎のあの格好を見て
そんで、大崎が転んで
俺の胸に飛び込んできて・・・
めちゃくちゃ可愛い顔で
俺の顔覗き込まれて・・・
そのあと、どうなったっけ?
「新」
「・・・・ん」
「寝過ぎ」
なんで、こいつの顔が目の前に・・・
「・・・・っ!」
ってか!ここ俺の家!?
「な、なんで?ここに?」
「は?・・・覚えてねぇの?」
覚えてねぇ?なにそれ
何のことだよ
「は、離れろよ・・・」
「なんで?」
なんでじゃねえよ!
こっちが聞きてえよ!
どうして俺のベッドでお前と
横になって寝てんだよ!
つかなに抱き締めてんだよ
「・・・俺、学校に居たよな?」
「居た」
「生徒会室で、衣装の試着してたよな?」
「してた」
「・・・・・・・・その後、俺どうした?」
「・・・・・・」
なんで黙んだよ
「おい・・・」
「お前、・・・・あの後倒れたんだよ。
疲れか何かじゃね?
んで、俺が抱えて連れて帰ってきた。
鍵は鞄に入ってたから。
そのまま入らせてもらった。以上」
眈々と眼鏡はそう説明してくれた
けど、なんかこいつ怒ってねぇか?
「そ、・・・・なんだ」
「ん」
「・・・・」
「・・・・」
なに?この沈黙は
黙ったまんま抱き締められたら
変に緊張するんですけど
「・・・本当に覚えてねえの?」
「は?だから、何のことだよ」
「・・・・・」
俺がそう聞き直すと、
眼鏡はまた黙ってしまった
「じゃぁいい。
もう大丈夫そうだし、俺帰るわ。」
は?何だよ、言いたい事あるなら言えよ
ため息をついて眼鏡は俺から離れて
ベッドから降りようとした
「おい、眼鏡・・・」
俺が声を掛けても、
眼鏡は振り向きもしなかった
なんなんだよほんとに
なんで怒ってんだよ
「おい待てって!」
眼鏡の態度に腹が立った俺は
こいつの腕を強く掴んで前に回り込んだ
「なに?」
「なにじゃねえよ。なんで怒ってんだよ」
「別に怒ってねえよ」
「怒ってんだろ!つか、
覚えてないって何のことだよ!
ちゃんと言ってくれなきゃ分かんねえよ!」
「・・・・・・」
また、黙った・・・
俺、ほんとに倒れただけなのか?
記憶がないまま、もしかして
こいつに何か言っちまったのか?
「新、離して」
「ちゃ、ちゃんと言えよ・・・
言うまで、は、離さない・・・」
覚えてねぇ事で、悶々するのは嫌だ
お前が、俺に背を向けるから
またそうやって離れて行こうとするから
「言えよ・・・」
わけの分からない眼鏡の態度に腹が立ったし、
こいつが何で怒ってんのかも気になる
暫く、眼鏡の袖を握り締めて
俺は下を向いて黙っていた
「・・・・新さ」
そして、ようやく眼鏡が口を開いた
「酒、飲んだ事無いんだよな?」
「・・・・・・・・・は?」
なんで、酒の話?
「ねえけど」
「・・・・」
なに、酒がどうかしたのか?
「それがなんだよ」
「いや、別に。」
終わらすなよ。ちゃんと説明しろよ
「おい、ちゃんとっッ!?」
ちゃんと説明しろと言おうとした時
眼鏡が俺を壁に追い詰めてきて
「な、なに・・・」
「俺以外の奴の前で、酒は絶対飲むなよ」
「はぁ?何の話だよ」
「樹」
・・・・な、なんで会長?
「お前、樹の事どう思ってんの?」
俺を見下ろす眼鏡のその言葉に
心臓がドクンと鳴った
「ど、どうって・・・」
「樹にめちゃくちゃにされたいって思ってんの?」
「はぃ?」
な、なにを言い出すんだお前はっ
そして、なんだよその顔はっ
「・・・眼鏡?」
「・・・・っ」
その顔は、あの時の嫉妬の顔
「お前・・・」
「駄目だ・・・見ないで」
いや、今更顔隠しても意味ねぇよ
「俺・・・まじかっこわる」
口に手を当てながら
眼鏡は俺から体を離した
少しだけ顔を赤くする眼鏡に
何故か自然と手が伸びて
「・・・なにしてんの?」
「べ、別に・・・なんとなく」
また勝手に体が動いて
離れた眼鏡の体を引き寄せては
ぎゅっと抱き締めた
「新、離れて」
「・・・・・嫌だ」
自分から、またこんな事して
こいつが抱き締めてきたら、離れろって言うくせに
今は嫌だとか言ってしまって
「か、会長の事は・・・
もう終わったこと・・・だし」
こいつを安心させたいと
そう言葉を零してしまう
「お前が・・・会長の事で
いちいち態度変えるのうざいし・・・」
ただ、一言一言呟く度に
それに比例して、心拍数が上がっていく
「・・・・・うん」
うん、ってそれだけかよ
熱くなる顔を上げて
眼鏡の顔を覗き込んだ
「・・・・お・・・い」
こいつは
また、少しだけ切なそうに笑っていた
「ごめん。変な事聞いて。気ぃ遣わせたな」
そう言って、抱き締め返しては
頭を撫でてくる
「お前なんかに、今更・・・気なんか遣わねえよ」
「ん」
小さく声を漏らして、
また優しく抱き締めてくる
「急がねえから。ゆっくりでいいから、
少しずつ俺の事考えてよ」
「・・・・・」
少しずつ・・・・か
お前も馬鹿だな。
少しずつなんて、そんなの遠に越してる
「・・・・分かったよ」
知らねえ間に、俺はお前の事で
頭がいっぱいなのに
「新?」
眼鏡を抱き締めながら
こいつの胸に顔を埋めると
ふわりと、甘い香りがした
多分、あの夢で感じた甘い香り
その香りに全身を包まれて
気持ちがいい
「・・・・お前、いいにおいする」
そう呟いて、
また眼鏡をぎゅっと抱き締めた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
111 / 617