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あんたに何が分かるんだよ
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冷たい空気が廊下を流れて
その中を、必死になって走った
「・・・・っ、はぁっ・・・」
ただ、会いたくて
声が聞きたくて
少しでも早く、あいつの顔が見たくて
今はそれだけを思って走った
「成海!!」
そしてやっと、保健室に着いては
あいつの名前を呼んで扉を開いた
「ど、どうしたの?朝から大きな声出して」
だけど
そこに、あいつは居なかった
「・・・・え・・・」
扉を開くとすぐ目の前に、
保険医の女の先生が立っていて
いきなり俺が大声を出してここに来たから
先生は少しだけ驚いた顔をしていた
「あ・・・・す、すみません」
不思議そうに首を傾げる先生を見ると
取り乱しそうになってたさっきまでの自分が
恥ずかしくなってきて、顔が熱くなった
「・・・ちょ、ちょっと腹痛くて・・・」
そう言って誤魔化しては
ゴシゴシと顔を擦って一度気持ちを落ち着かせようとした
「そ、そう・・・お腹痛いなら、
1限目が始まるまで寝てていいですよ」
心配そうに俺の顔を覗き込んでは
先生はにこりと笑って保健室を出ようとした
「え、あのっ・・・」
眼鏡の事を聞こうと思って引き止めたけど
「あっ、なんなら治るまで寝ていていいですからね。
お体は大切に。
私はこれから職員会議に行って来ますから」
「・・・・は、はい」
先生は、色っぽいウインクをしては
ガラリと扉を閉めて行ってしまった
「・・・・・・」
保健室に、取り残された俺。
「なに、してんだよ・・・ほんと」
ここにも、あいつが居ない
会いたい時に限って、なんで会えねぇんだよ・・・
肩の力を抜いて、保健室の中を見渡した
「・・・・ここは」
医療用具に溢れた
白で統一されたこの部屋
保健室独特のニオイが、鼻にツンと来る
「この場所で・・・初めてあいつに、抱かれたんだよな」
保健室の一番奥にあるベッドに近付いて
体をそのまま倒した
「・・・・」
枕に顔を埋めると、あの時の事が
鮮明に思い出された
いきなり呼び出されたかと思えば
俺が来るなり押し倒して来て
命令口調で話すあいつに
嫌だと何度も叫んではそのまま犯された
「・・・・・腹、立つ」
全部が、ここから始まったのに
最悪な悪夢が、俺の身に降りかかってきたかと思ってたのに
「・・・・なんで・・・居ねぇんだよ・・・」
今じゃ、あいつと過ごした日が
懐かしくて、最悪だと思ってた日々さえも愛しい
「くそ眼鏡・・・・本当に終わりなのかよ」
ぎゅっと布団を掴むと
隣にあいつがいる気がした
「・・・馬鹿じゃねぇの・・・俺」
変な錯覚を起こしそうになる前に
そのまま体を起こしては保健室を出ようとした
「えぇ〜❤︎そんな事言わないでよぉ❤︎」
っ!?
その時、廊下から何やら声が聞こえ
それが保健室に向かっているものと気付くと
咄嗟に布団の中に隠れてしまった
その後すぐに、扉が開いて
その声が近くで聞こえた
「・・・・やべ・・・何隠れてんだよ俺っ」
反射的に取った行動にすぐ後悔し
きゃっきゃうふふと話す入って来た奴らを横目に
どうやってこの場を逃れようかと
考えていた時だった
「たまたま早く学校に来ちゃって退屈してたのぉ〜」
一人、そう話すのは女の声だった
そして、カーテンに映る影は二つ
その二人は隣のベッドに腰を掛けては
女の影がもう一つの影に絡み寄っていた
「・・・・・カップルかよ(怒)」
俺は聞こえないようにボソっと呟いた
こんな朝から保健室で何するつもりだよ
なんだよリア充しやがって(怒)
保健室のベッドはそんな事の為に
あるんじゃねえよ!!(←人の事言えない)
「・・・・・っ」
ますます出て行きにくいと思っていた時
「でもぉ〜まさか成海君が、こんな朝早くから学校来てるなんて」
「・・・・・・なっ」
女の言った言葉に、全身がドクンと脈を打った
「・・・・め・・がね?」
聞こえないように、小声でそう呟くと
今度は女じゃない声が聞こえた
「・・・・俺、眠いんだけど。」
低くて、濁りのない澄み切った声
「・・・・な・・・るみ?」
少ししか聞こえなかったのに
久しぶりに聞くその声に、また胸が苦しくなる
「もぉ、睨まないでよぉ!
だからウチが一緒に寝てあげるってばあ!」
「頼んでねぇよ」
・・・・・・。
どうしよう。
本当に出て行けない・・・
つか!
なんだよ、お前早から女に手ぇ出してんのかよ!
俺を捨てたらアッサリとそんな事しやがって!
俺がっ・・・どんな思いで・・・っ
「なんでぇ?だって成海君付き合ってる子居ないんでしょお?」
「・・・・・」
心に鬼を宿しながら、布団をギリギリと握り締めていると
また女がペラペラと喋り始めた
「好きな子も居ないんでしょお?」
「・・・・・・」
「それに文化祭で成海君がキスしてた子って
同じ生徒会の子だって聞いたしぃ
彼女かと思ったらただの後輩だとかぁ」
「・・・・・・」
女が話す事に、眼鏡は一言も返さなかった
「・・・っ」
それが酷く辛くて、また布団を握る手に力が入った
「と言うよりぃ〜相手男とか聞いてちょっとムカついたしぃ」
「は?」
「だって女のウチ等にはキスしてくれないのに
なんでそんなただの後輩、しかも男にキスするとかぁ
こっちのプライドが許せないというかぁ〜」
・・・・・・さっきからうぜぇなこの女
なんだよ、男なら悪りぃかよ
お前も何か言い返せよ!!!
なんで黙ってんだよ!
頬を膨らませてプンスカと怒っていると、
眼鏡は小さく呟いた
「プライド・・・ね」
「成海君、全然相手してくれないんだもん〜
だから今日は無理矢理でもその気にさせちゃうからぁ❤︎」
なっ・・・・んでそうなるこの女!!(怒)
「いっ・・・」
いい加減にしろと、飛び出そうとした時、
眼鏡のため息が聞こえた
「・・・・勝手にすれば」
怠そうにそう言うこいつの言葉に
動こうとした体が止まった
「・・・・な、んで」
追い払わねえのかよ・・・
「きゃは❤︎じゃあ成海君は寝てて〜❤︎」
待てよ・・・・なんでそうなるんだよ
「・・・俺の事、どう思ってんの?」
「んん〜?まぁ顔もタイプだしぃ?
成海君頭も良いしぃ〜?モテるしぃ
周りの評価もいいしぃ?
隣歩くだけでウチの価値上がるかもぉ〜なんてぇ〜」
は?・・・・
「ちょっと冷たい態度は怖いけどぉ
そこもまた良いと言うかぁ〜」
なんだよそれ・・・・
「へぇ・・・・分かってんじゃん」
お前も、何言ってんだよ
「だからぁ〜、別に好きな子も付き合ってる子も居ないならぁ〜」
やめろよ・・・・
そいつの事 何も知らないくせに
「ウチとぉ・・・・」
「・・・・・」
そいつを、ただの飾りとしか見てねえ奴が
「付き合っ「ちょっと待ったぁあ!!」」
「・・・・・!?」
女が言う事に、我慢しきれなくなった俺は
とうとう二人の前に飛び出してしまった
俺の顔を見るなり、眼鏡は目を見開いては
どうしてお前が?という顔をした
「や、やめろよ・・・」
そんな眼鏡に目もくれず、腹の中で暴れるこの
どうしようもなくムカつく怒りを纏って
「あんたに・・・・こいつの何が分かるんだよ・・・」
「はぁ?誰ぇこの子」
俺はきっと、鬼の形相で今
女を睨み殺そうとしてる
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