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伝えるということ
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そんな事を考えながら、
生徒会室に行く足を保健室へと切り替えて
そのままボーっと歩いていた
「成海君〜❤︎」
「・・・・・」
そんな時、一人の女が駆け寄ってきた
しつこく俺に付きまとって
保健室に入るなり押し倒してきて
鬱陶しかったけどそのままにした
もうどうでもよかった
「俺の事・・・どう思ってるの?」
俺は、あいつから聞けなかった言葉を
別のやつから聞くことで
少しでも気を紛らわそうとした
別の奴にその言葉を言われても
なんとも思わないから
ただその言葉を聞くだけで
新に言われたと思い込んで
それで満足しようとした
今まで通り、
今度は新の代わりを探せばいい
「んん〜?まぁ顔もタイプだしぃ?
成海君頭もいいしぃ?モテるし
周りの評価もいいしぃ〜?
隣歩くだけでウチの価値上がるかもぉ〜なんてぇ〜」
相手が俺をどう思おうが別に構わない
「へぇ・・・分かってんじゃん」
俺はあいつしか知りたくない
あいつにしか、知ってほしくない
「だからぁ〜ウチとぉ〜」
他の奴を抱きながら、新を思い出せばいい
あいつの小さな体と、あいつの俺を見る真っ直ぐな目を
それだけを思い出して
これから生きていけばいい
だから、この女が俺を求めてきても
それでも良かった
俺はこの女と同じだ
体だけ求めて、それ以上は要らない
だから、何を言われようが良かったのに
「ちょっと待ったぁああ!!」
「・・・・!?」
いきなり隣のベッドから
飛び出してきたのは
「や、やめろよ・・・・」
俺が、必死になって手離した奴
「あんたに・・・こいつの何が分かるんだよ・・・」
どうして・・・・新がここに・・・
「はぁ?誰ぇこの子」
飛び出して来るなり、新と一度目が合ったけど
新は俺に見向きもしないで
目の前の女を鋭く睨んでいた
「何ぃ?超睨んで来るんですけどぉ」
「あ、あんた・・・」
そして、新は小さく口を開いた
「こいつの事、好きなのかよ」
・・・・・・は?
「はぁ?だったら何よぉ、あんたには関係無いでしょ。
つか、覗き見してたとかありえないんですけどぉ」
「こいつのっ、何が好きでそんな事言えんだよ!」
女が怠そうな態度を取ると、
新はいきなり声を張り上げて
拳にぎゅっと力を入れていた
「おい、新・・・」
「お前は黙ってろ!!」
「・・・・・」
声を掛けようとしたら、
顔は振り向けずに新は俺に怒鳴ってきた
その声があまりにも怒ってたから
とりあえず口を閉じた
その時の新の背中は、酷く怒っていて
今まで見たこともない程ピリピリしていた
「つかなにぃ?うざいんですけど。
ガキはさっさと出てけよぉ」
そんな新に、女も少しだけキレてきて
新を睨み出した
「・・・・・」
「・・・・・・・」
そして、二人は暫く睨み合いをした後
「こ、こいつはなぁ!」
大きく声を上げたのは新だった
「こいつは、確かに顔も良くてスタイル抜群で
勉強も出来て、おまけにすげぇモテるし
周りの評価も確かにいい!!ムカつくけどな!」
「はぁ??それウチが言った台詞なんだけど
つか、ムカつくって何?僻み?w」
「でもな!!」
新がまた声を上げて、
女は少しだけビクッとしていた
「こいつは初対面の奴の弱味を握っては脅して
おまけに喧嘩に勝ったら負けた奴にフェラさせてきて
その次の日保健室で無理やり俺を犯しては満足そうに笑う最低な奴だ!!」
「え・・・(引)」
「・・・・・・・・(怒)」
「おまけに生徒会室で××××××な事してはそのまま×××××してくるし!」
「おい、新・・・」
こいつは・・・・
何を言い出したかと思えば(怒)
「ちょっと色気あるくらいでマ◯ドの店員に色目使っていい気になるし、
カラオケなんて一緒に行ったらこいつは歌上手過ぎて
自分の歌声なんて蛙以下だとか思わせられるし!」
「ちょ、ちょっと何よさっきからっ」
「それに!!こいつは男のくせに女装しても
そこら辺の女なんかより全然綺麗だし、
あんたよりもな!」
「ちょっと何!?うざいんだけど!?」
「本当に、こいつは何をしても完璧で
唯一欠けてるもんとしたら視力くらいで・・・」
・・・・・・。
・・・・・黙って聞いてたけど
いい加減、怒るぞおい・・・
「新、いい加減に「でも」」
言葉を止めようとしたら、
新は俺の言葉に声を被せるようにして
少し震えながら、また言葉を放った
「傷付いた俺を慰めてくれて・・・
一番辛い時に側に居てくれて・・・
根は最低な奴なのにっ・・・最低なりに
俺の事大事に、思って・・・くれてて・・・」
いきなり、新は詰まるようにして
そう言い出したかと思えば
「っい、意地悪で・・・自己中で・・・
ほんとに悪魔みたいな奴だけど・・・っ」
背中から、新が泣いていると伝わってくる
「・・・新・・・」
やっぱり俺は・・・お前を泣かせてしまう
「ぅっ・・・っ・・・」
「ちょっと、な、何泣いてんのよっ」
「ば、馬鹿であほで、くそ、ムカつく奴だけど・・・っ・・・
人の、事・・・簡単に捨て、る・・・っ最低な奴だけどっ・・・ぅっ」
「あ・・・・新・・・」
「ちょっとやだ!も、もういいからっ!
ウチ出てくし!後は勝手にしてよっ!」
目の前で泣き出した新を見て
女はそそくさと出て行ってしまった
「・・・ぅ・・・、ふぇ・・・でもっ、」
まだ、新は言葉を言い続けていて
「・・・・新」
その背中に手を伸ばそうとした時
「・・・っ!?」
新は勢い良く振り向いて俺の胸に飛び込んで来た
「・・・・お、おい・・・」
がっしりと、俺の背中に手を回して
嗚咽を零しながら、また何かを呟いた
「お、俺はっ・・・、お前が・・・い、い・・・ぅっ、・・」
「・・・・・」
「どん、な、・・・お前でも・・・っ・・・いい・・・」
そう言葉を零す度に、
新は腕に力を入れてくる
「新・・・・・・離せ」
「嫌だ・・・ヒッ、クッ・・・いや、だ」
「・・・・・」
駄目だ・・・・これじゃまた・・・
「お前が、・・・・もう俺の事・・・っ、
要ら、ないって・・・思って、てもいい・・・」
「・・・・」
「今、度は俺が・・・っぅ・・・お、前を追い掛ける、から・・・」
「・・・・新」
「俺、がっ・・・グズッ・・・絶対に、
お前の、事・・・振り向かせ、るから・・・ぅっ」
「新」
ずっと、俺の胸に顔を押し付けて
新はそんな事を言ってきた
「泣か、れるのが、・・・めんどくさいなら
・・・・ぅぐっ・・・も、う・・・泣かねえ、からっ・・・」
「・・・・・・・っ」
違う・・・そんな事思った事ない
「俺の、事飽きたなら・・・お前が、また俺、の事見て・・・くれる様に、頑張る、からっ・・・ぅっ・・・」
違う・・・
「お、れ・・・っぅ・・・素直じゃ・・・ねぇから、
ちゃんと、言える時に・・・ぅっ、言え、無かったけど・・・」
「・・・・・っ」
その言葉を言った時、新は俺を押し倒してきて
俺は仰向けになって、新が上から俺の顔を覗き込んだ
泣きじゃくる新の涙が
俺の頬にポタポタと落ちてきた
「・・・・新・・・」
「うっ・・・ヒッ、クッ・・・な、るみ・・・」
「・・・・・」
「成海・・・なる、み・・・ぅっ」
その新の表情に、胸がまた苦しくなって
「新・・・」
何度も俺の名前を呼ぶ新の頬に触れると
新は目をぎゅっと閉じて、また呟いた
「・・・成海が・・・っ、・・・・すき・・・」
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