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知り得なかった事
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肩に見えたものは、多分過去の入院時に
手術か何かで出来た傷だと思った
それを僕が見れば
日野はその事をちゃんと話してくれると思った
だけどそこにあったのは青い龍の刺青
恐らくこれは腕まで続いている
「日野、これは何?」
どうやら、別の事を聞くことになりそうだ
「え?」
「え、じゃないよ。
どうしてこんなものがあるの?」
高校生が刺青なんて彫っていたら大問題だ。
もし先生や他の生徒が見たら・・・
「おぉ・・・お、これはっ・・・」
日野は慌てて肩を隠した
明らかに動揺している
僕はその手を抑えて
再度日野にこの刺青について問うた
「日野、ちゃんと話して」
「ぅえっ??や、だからこれは・・・」
「かっこいいから入れたとか・・・
そんな馬鹿な事は言わないでよね」
「・・・・」
「・・・・・・」
僕がそう言うと、日野は黙って下を向いた
図星か?・・・いや、そんな訳ない
入れた理由がそんな事なら
隠そうとする意味が分からない
「・・・言えん」
「どうして?」
「言えんもんは言えん。
いくらいっちゃんでも・・・
悪いけんど、これに関しては話せん」
話せない理由とは何だ?
まさかとは思うけど・・・
「日野、君は一体何者なの?」
そう聞くと、日野は体をビクっとさせた
そしてその表情は一気に険しくなった
「・・・・い、言えんちや」
「言って。ちゃんと話して」
「・・・っ」
聞かない方がいいのかもしれないけど
僕は学校側から日野の事を任されている
桐島さんからも
だから僕は知る必要がある
「言わないと、僕はこの刺青の事を学校側に話すよ?」
「ちょっ、それはいかん!」
「なら話して」
少し脅してるようになるけど
いくら問い詰めても話そうとしない日野に
こう言うしか方法は無い
「・・・・なら」
「え?」
「なら・・・ヤらせてや」
「・・・・・・は?」
この男。まだふざけた事を
「俺に挿れさせてくれたら・・・ちゃんと話す」
僕は今真剣な話をしているのに
本当にこの男の頭にはそれしかないのか
「ふざけないで。
次なんてないって言ったでしょ」
「なら言わん」
「・・・・(怒)」
なんなのこの意地っ張りは。
駄目だな。少しイラっとしたよ
「はぁ・・・・・・分かったよ」
「えっ?」
今は承諾するしか無いか。別にそう約束しても
そういう流れにならないようにすればいいだけだ
「気が向いたらね」
「ちょっ!えっ!?ま、まじか?」
「なに、その顔。」
「だってっ・・・ぅえ??
ほんまに次も俺としてくれる?」
「だから気が向いたらだって」
しつこいな。
と言うより、あれ程話したがらなかった事を
こんな取り引きで簡単に話す気になるものなのか?
「じゃ、じゃあさっそく❤︎」
「馬鹿。今じゃないよ」
飛びついて来ようとした日野を軽く避けると
僕の方を向いて、日野は少し笑った
「・・・・約束な?」
「・・・はいはい」
軽く返事を済ますと
日野はにかっと笑って机に腰を掛け
手を握り締めながら小さく呟いた
「俺、ヤクザの息子ながよ」
「・・・・・」
日野の呟いた言葉に、やっぱりそうかと
僕は肩の力を抜いた
「この刺青は、中学入ってすぐに入れた」
「・・・・」
「正確に言えば、“入れさせられた”」
「え?」
「まぁまぁ!そんな顔しなや!
ヤクザの元に生まれたならそれが普通やで!」
普通って・・・
「平気・・・なのか?」
13歳の体に墨を入れる事が普通なのか?
「んー、最初はそら嫌やったで。
入れる時めちゃくちゃ痛かったし
これあると人前で下手に服脱げんし
夏は半袖も着れんかった」
当たり前だろ・・・公共の場で
そんなものが人の目に触れたら・・・
だけど、それがたった13の時に彫られたなんて
「日野・・・君は・・・」
「・・・・・」
僕はそんな世界の事は全然分からない
分からないけど・・・
「まさか・・・」
「・・・・ん。」
僕の頭の中に流れた事が
どうか外れてほしいと思った時
日野は少し悲しそうに笑って口を開いた
「俺は、日野組の三代目若頭や」
その言葉を聞くと僕の体が大きく脈を打つ
そして、体が一気に冷たくなっていくのが分かった
「いっちゃん・・・」
本当に僕は日野の事をもっとちゃんと知らなければならない
「俺が・・・怖いか?」
辛そうに笑う日野を見て
僕はそう思った
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