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友達
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「はぁ・・・・・」
学校から出ると、盛大なため息が出た
秋人君と別れた日から
関係が友達という形に引き継いでしまって
放課後の迎えは続いてるし
それに、さっき会長に呼び出されて
生徒会室に集まったんだけど
入るなり、何故か空気がビリビリしてた。
渋谷君は元気無かったし
会長は久しぶりに会ってみたら
なんか雰囲気が変わったというか・・・
少し怖かった。
上城先輩は普通?だったし
日野先輩は相変わらずテンションが高かった。
そして、活動は無いはずだったのに
何故呼び出しをされたか・・・
「まさか、暴力事件の話が出るなんて・・・」
またため息をつきながら
僕は校門へと向かった
暴力事件の話は秋人君から
渋谷君には絶対話さないでって言われてたのに
会長からの話で渋谷君には知られてしまった。
だけど、会長が話してる間、
渋谷君はずっと下を向いてたし
なんかボケーっとしてたから
もしかしたら、あまりきちんと
聞いてなかったかもしれない。
それより、何で元気無かったんだろう・・・
って、別に渋谷君なんてどうでもいいんだけど。
さっき、教室から先輩と一緒に帰って行くの見えたし。
冬休みか・・・
渋谷君は先輩と沢山遊ぶんだろうなぁ・・・
「はぁ・・・・」
何回目だろう。ため息が止まらないよ。
幸せ逃げちゃう。
いや、元から僕には
幸せの“し”の字も無いんだけど。
「忍!!」
「っ!」
校門を出た所で、僕を呼ぶ大きな声が
ダイレクトに耳に入ってきた。
体を一瞬ビクっとさせたが
もうこの感じには慣れたよ。
「あ、秋人君・・・」
声のする方へと振り向くと、付き合ってた時より
何倍も嬉しそうな顔をして
僕に駆け寄ってくる赤髪男子。
「終わるの結構遅かったな!
今日は生徒会無いんじゃなかったのか?」
そしてこの眩い笑顔。
やめてよ。マブイよ。
「や、はい・・・ちょっと色々とありまして・・・」
「色々?」
「へ、へい(汗)」
「・・・ふぅ〜ん」
秋人君は僕の顔をじっと見つめた後
パッと向きを変えて
よし、帰るか!と言って歩き出した
「・・・・」
どうしよう。秋人君に言うべきかな?
暴力事件の事を渋谷君が知ってしまったって・・・
「秋人k「なあ忍!」」
「・・・・はい」
渋谷君の事を話そうとしたら
急に秋人君が振り向いて、物凄くデカイ声で
僕の名前を呼んできた。
「今日さ、夜一緒に飯食わね?」
はっ!?
「えっ!ご、ご飯?」
なんで!?
「今小夏達家に居ねえからさ、ちょっと寂しくて!」
し、知らないよっそんな事っ
笑顔で寂しいなんて言わないでよっ
寂しそうじゃないよ全然!!(怒)
と、というか・・・
なんで小夏ちゃん達居ないの?
「じゃ、じゃあつっちーさん達も・・・」
「んー、あいつら誘ったんだけどさ
どうやら二人で泊まりするらしくて断られた!」
「・・・そ、そうなんだ」
そっか・・・
つっちーさんとカワちゃんさんは
付き合ってるんだよね
なら仕方な・・・
ってそうじゃないよっ!
じょ、冗談じゃない!
なんで僕が君と二人でご飯を食べなくちゃいけないんだ!
「忍が嫌じゃねえなら、一緒に飯食ってほしい」
「・・・・」
なんでそういう顔するかな・・・
僕、君のその顔に弱いんだよ
「べ、別に・・・嫌じゃないから。いい、よ」
「ほんとか!?」
「・・・うん」
あぁもう・・・僕の馬鹿
断ればいいものを・・・
「よっしゃ!!さんきゅーな!」
「・・・・」
僕が いいよ。と呟いただけで
秋人君は大袈裟に喜んで笑顔を向ける
「今日はさ、肉じゃがにしようと思ってんだ!」
僕は秋人君を振ってもう別れたのに
何故か秋人君は前よりもイキイキしてる
「冬休み!いっぱい遊ぼうな!」
「ふぇ??」
キラキラオーラを放つ秋人君の背中を見ながら
フラフラと歩いていたら
急に振り向かれてそう言われた
・・・いっぱい遊ぼう?
「え、あ・・・え?」
「そんな警戒すんなよ。ダチとしていっぱい遊ぼうって事♪」
だ、ダチとして・・・
「あ、うん・・・」
「忍にもっと俺の事知って欲しいしさ」
そう言って笑った秋人君の手が
僕の方へと伸びてきた
あ・・・頭、撫でられる
そう思って、僕はすかさず下を向いた
「・・・・・」
「・・・・??」
ん?・・・撫でてこない?
「うっし!スーパー行くか!」
「ふぇ?」
その時、ポンっと手が置かれたのは
僕の左肩だった
「秋人君・・・」
「んお?」
不意に僕は秋人君の名前を呼んでしまった
「どうした?」
どうしたじゃないよ・・・
てっきり、頭を撫でてくると思ったのに
「な、なんでもない・・・です」
「??」
「・・・・っ」
って何を期待してたんだ僕は・・・
「んじゃ、行こっか」
「は、はい・・・」
下を向いたまま、秋人君に着いて歩き出すと
すぐに一つ気付いた事があった
今更だけど、僕は歩くのが遅い。
「忍〜、他に食いたい物とかねぇの?」
だけど、秋人君は歩幅を僕に合わせてくれてる
「に、肉じゃがだけで十分です」
「え?まじで?」
「う、うん・・・」
なんで、今まで気づかなかった事を
今更気付いたりするんだろう
「あ〜、どうすっかな。サラダ的なモンもいるよな」
少し考え事をする時、秋人君は必ず後ろ髪を触る
「まぁ、買い物しながら決めるか」
歩く時は、必ず片方の手を
ズボンのポケットの中に入れたり・・・
「忍?」
「あっ!ぬぁんでしょう!」
ぼけっとそんな事を考えていたら、
秋人君は僕の顔を覗き込んできた
おかげでまた変な返事になったよ。
「ん。やっぱなんでもない♪」
「・・・」
「ささっ、買い物♪買い物♪」
「・・・・」
こうやって、なんでもないとか言いながら
僕の小さな変化とか、考えてる事に
ちゃんと気付いてくれようとしてる
「・・・秋人君」
「んー?」
なんで、今まで気づかなかったのかな
「ぼ、僕・・・またポテトサラダ、食べたい」
「え?」
友達に戻って、少しは距離が取れたからかな?
「へへっ、分かった!」
友達に戻れたから
前より秋人君の笑顔が、キラキラ光って見えるのかな
「買い物楽しみだな♪」
「・・・うん」
あ・・・渋谷君の話するの忘れてた
「野菜選び。また手伝ってくれよ」
「ふふっ・・・うん」
まぁ、後でもいっか
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