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イニシャル
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先輩が渋谷君を抱き締めようとした時
渋谷君は思いっきり先輩の頬を殴った
突然の出来事に僕はびっくりしたけど、
本気で先輩が分からないの!?と
渋谷君に詰め寄ってしまった
先輩は始め笑っていたけど
渋谷君が何度も先輩の事を知らないと言うと
先輩は渋谷君を抱きかかえて
病室を出て行ってしまった
先輩の顔、少し怒ってた・・・よね?
でもそりゃそうだよね。
心配して来てくれたのに、殴られた挙句
知らないなんて言われたら
先輩だって怒るに決まってる・・・
でも渋谷君はきっと先輩の顔を見ると
忘れた事も全部思い出すと思った
だから先輩に渋谷君の事が言えなかった
「・・・・・」
渋谷君・・・・先輩の顔を見ても
何とも思ってない顔をしていた。
本当に誰ですか?って顔してた。
今日は先輩の誕生日なんだよ?
昨日起こった悲惨な出来事から
お祝い事へと頭の中を切り替えるのは難しいかもしれない
でも、それでも今日は先輩にとって
一年で一度しか来ない特別な日なんだよ?
それなのに・・忘れてしまうなんて・・・
「・・・一体どうしちゃったの」
あれから二人はどうなったのかな。と
ため息をつきながら考えていると
病室の扉がゆっくりと開き、渋谷君と目が合った
「渋谷君!」
渋谷君は扉に手を掛けたまま
少しボケっとしてた
僕が名前を呼ぶと、ビクッと体を跳ねらせ
やがて小さく『おう』と呟いた
「先輩は?」
「・・・・・・」
咄嗟にそう聞いたが
渋谷君は部屋に入ると扉を閉めてしまい
口元をよく見ると下唇が少し切れている事に気付き
僕は大声を上げてしまった
「せ、先輩と喧嘩したの!?」
「え・・」
まさかっ
先輩まで渋谷君を殴ったとか!?
「だ、駄目だよ!殴り合いなんてもうしないで!」
「ちょ、大崎?」
殴り合いと考えると昨夜の出来事が
鮮明に思い出された
あんなのはもう二度と見たくない
それに君と先輩は付き合ってるんだよ?
思い合ってるのに殴り合いとか・・・
そんなの駄目だよ
「別に殴り合いとかしてねえよ」
「・・・・え」
「それより、ここにあいつは二度と入れるなよ。」
「ぇあっ?ちょ、渋谷君!」
さっき、少しだけ渋谷君は辛そうな顔をした
「・・・・」
「・・・・・渋谷君?」
そして、スタスタとベッドの方へと歩き
渋谷君はベッドの横の机に置いてあった
小さな箱を手に取った
「・・・・」
「・・・」
じっと箱を見つめる渋谷君を見ると
もしかしたら思い出したのか?と思い
声を掛けたが、すぐにまた知らねえと言われた
それでもずっと箱を見つめている
その真剣な顔を見ると
僕は声が掛けれなくなって
暫くモジモジしていたら
急に箱を包んでいた紙が破れる音が聞こえた
「開けちゃうの!?」
「は?」
渋谷君は青いリボンを解き
ビリビリと包みを破り始めた
そして、中から出てきたのは一回り小さい箱
開けちゃうの!?ともう一度聞くと
渋谷君は僕を睨んで来た
「お前、これ俺のだって言ってたじゃねえかよ」
「へ?」
「俺のものなら、俺が開けてもいいだろ」
「そ・・・」
そんなっ!(汗)
確かに君のだよって言ったのは僕だけど(泣)
でもそれは先輩へのプレゼントでしょ?
「・・・・」
「??」
中に入ってた箱をパカっと開けた渋谷君は
箱の中身を見つめたまま黙り込んでしまった
「あの「やっぱちげえわ。」」
「え?」
声を掛けようとしたら
渋谷君は箱を閉じて机の上に置いた
「俺のじゃねえ」
そしてそう呟き、体の向きを変え病室から出て行こうとした
「ど、どどどこ行くの??」
無言で出て行こうとした渋谷君の背中を見ると
つい反射的にそう聞いてしまった
「土屋達のとこ。」
「っあ、つ、つっちーさん!?」
「ん。」
「そ、そっか・・・」
呼び止めようと伸ばした手が少しずつ下に落ちた
「じゃあな大崎」
「・・・は、はぃ」
僕がそう返すと、扉がピシャリと閉められた
そしてさっき渋谷君が見ていたあの箱を見つめると
自然に手が箱へと伸びて
僕も箱の中身を見てしまった
「・・・き、綺麗・・・」
箱の中には
シルバーリングとゴールドリングの
二つが絡み合ったネックレスが入っていた
キラキラ光ってとても綺麗だった
「・・・あれ?」
暫くその綺麗なネックレスをじぃ〜っと眺めていると
リングの内側に何かが彫られている事に気が付いた
これは・・・イニシャル?
そうだとしたらこれは・・・
「本当に、渋谷君のじゃない?」
いやでも、絶対これは渋谷君のだと思う。
渋谷君から先輩へのプレゼントなはずだ。
だけど・・・じゃあなんで・・・
イニシャルが、AとMなんだ?
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