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僕と無口な友達
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あの事件から二日経った
昨日は渋谷君が帰った後、小夏ちゃんと春人君が
お婆ちゃんに連れられて秋人君のお見舞いに来て居た
祖母さんとお話しするのは緊張した。
でも小夏ちゃんも春人君もいつも通りで
目を閉じたままの秋人君に無邪気に話掛けていた
二人とも色違いの手袋を付けていたから
『手袋お揃いだね』って言ったら嬉しそうに笑って
『家に帰ったらサンタさんからのプレゼントがあった』
そう二人は言った
小夏ちゃんがピンクの手袋で、春人君が水色の手袋
サンタさんと聞くと、すぐに秋人君が用意した物だと分かった
嬉しそうにお揃いの手袋を秋人君に見せてた。
だけどベッドの上の秋人君は
まだ目を覚ましていない
今日も僕は病院に足を運ぶ。
りんごが沢山入ったレジ袋を持って
「・・・・」
病室の前に来ると必ず立ち止まってしまう
なんというか・・・その・・・
この扉を開いたら、秋人君が入ってきた僕を見て
明るい声で僕の名前を呼んでくれるかもしれない
そんな“もしかしたら”に期待をして
「フゥー」
大きく息を吐いて病室の重い扉を開いた
『忍!おはよ!』
すると、中から明るい声が聞こえた
「え・・・」
本当に秋人君が僕を呼んでくれたと思って
一瞬胸がドキッとした
「・・ぁ・・・忍ちん」
「・・・・」
「・・・・・」
だけど、備え付けのカーテンから顔を出したのは
秋人君じゃなかった
「つっちーさん」
部屋に居たのは、眠る秋人君の隣に立つ
つっちーさん・・・と、その横にはカワちゃんさん
「お、おはようございます」
さっき僕を呼んだ明るい声は
中で話してたつっちーさんの声
それを秋人君の声だと思い
良いように聞き間違えてしまった
少し、『なんだ・・・』と思ってがっかりしてしまった
「・・・おはようっス」
「・・・・」
つっちーさんが小声で挨拶を返してくれて
カワちゃんさんがペコリと頭を下げた
「あっ!二人とも怪我は大丈夫?」
僕はもう一度お辞儀をして
そのまま部屋へと足を踏み入れ
りんごが入ったレジ袋をベッドの横にある机の上に置いた
二人に会うのも二日振りだ
それに、二人は別の病院に運ばれて
僕は秋人君に付きっきりだったから
二人のところへ行けなかった
聞いた話によると、つっちーさんは軽傷で
カワちゃんさんは入院していると聞いた
でも二人は今ここにいる
カワちゃんさんは首元から包帯が見えてた。
つっちーさんは口元に絆創膏が貼られてる
「オレ達は大丈夫っスよ」
「・・・」
「そ、そっか・・・」 良かった・・・
大丈夫だと言う二人を見て安心した
「お、オレちょっと飲み物買って来るっス」
「え」
「カワちゃん、ここに居て下さいっス」
「・・・」
そう言ってカワちゃんさんの肩に手を置いたつっちーさんは
すぐに病室を出て行ってしまった
少しだけ元気が無かった様に思えたけど
本当に大丈夫なのかな?・・・・
そう思いながら、カワちゃんさんの方を向いた
「・・・・」
「・・・・・」
「・・・・」
「・・・・・え・・・と」
病室に、カワちゃんさんと二人。
カワちゃんさんは僕の事をずっと見つめてて
全然喋ろうとしなかった
僕、本当に人見知りだから二人きりになったら
何て話ていいか分からないよ・・・
秋人君と二人きりの時は
人見知りなんて発揮出来なかったけど・・・
「・・・・」
「あ、えっ?」
下を向いてモジモジしてたら
カワちゃんさんは僕の服をぐいっと引っ張った
「あのっ、カワちゃんさん??」
「・・・・・」
無言のまま病室の外へと連れ出された
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