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面会
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新は友人の元へと見舞いに行き
俺はあいつに用事があると伝え別の病棟に来ている
「・・・・」
そしてある病室の前まで来た
中から喚き声が聞こえ、病室から看護師が慌てて出てきて
どの看護師も疲れ果てた顔をしている
中の人物に相当手をやいているんだろう
「すみません、少しいいですか?」
出てきた看護師のうち一人に声を掛け
中に居る男と面会してもいいか尋ねた
看護師は困ったような顔をしたが
俺の名前を言うとすぐに面会を承諾してくれた
「はい。ありがとうございます」
看護師に礼を済ませ、病室の扉を開く
中に入ると胸や腹、太ももに足首と黒い拘束ベルトが巻かれ
ベッドに縛り付けられているある男が目に入る
目には目隠しがされていて
両手には白いギブスが施されている
入って来た俺に気付いてないのか
男は叫びながらバタバタと暴れていた
「渋谷ぁああああああ!」
「・・・・・」
乾いた声を張り上げ、叫んでいるのは新の名前
「元気そうだな」
「!?」
一言声を掛けると男は叫ぶのをやめて俺の方に顔を向けた
本来ならあの事件と何の関わりもない俺みたいな奴が
この男と面会なんて許される事ではない
それにこれほどまでに暴れまわり、拘束されるくらいだ
こいつ自身も面会なんて出来たもんじゃない
けど俺は親父の名を借り、ここへ入る事を許された
親父に力なんて借りたくなかったけど
そうでもしないといつまで経っても腹の虫が収まらない
この男と会わねえと気が済まない
「病院生活にもう飽きたのか?」
「・・・・・その声」
こんな下衆男と口なんて効きたくないが
俺はお前に言うことがある
「覚えてるか?俺の事を」
「ぎゃはははっ!てめえの声はよぉーく覚えてるぜ!くそ眼鏡!」
「・・・・へぇ」
相変わらず汚ねえ声に汚ねえ笑い方だな
「嬉しくもねえな」
一緒の空気吸ってるって考えただけで気持ち悪い
さっさと用を済ませてあいつの所へ戻りたい
拘束された氷崎の方へ近付くと、また汚い声で叫び始める
「ぎゃははははっ渋谷はどうした?一緒じゃねえのか?」
「・・・・」
「なあ、あいつどんな顔してたよ?あ?」
「・・・・・」
「俺の腕を折った時のあいつの顔・・・最高だったぜ」
「・・・・」
氷崎の言うことに返事はせず俺はただ黙って聞いていた
この男が新の名前を口にする度に怒りが込み上げてくるが
怒りに比例して大きくなるのは冷静さだった
「渋谷をここに連れて来いよ。まだ遊び足りねえんだわ」
「・・・」
「ぎゃははっ、まぁ今度遊ぶ時はもっとあいつが苦しむ事をしてやるよ」
「・・・・・」
「全部俺にぶっ壊されて泣き喚くあいつの顔・・・
・・・最高だと思わねえか?なあ?」
「・・・・・」
本当に汚ねえな・・・全部が汚ねえ
「お前は渋谷の何だ?ダチか?
あいつのダチならお前も俺が痛め付けてやんよ。
渋谷の周りの奴を全員地獄に落としてやる」
「・・・・・ふっ」
地獄ね。まぁ別に俺はそれでも構わねえけど
「面白えな。それ」
地獄が本当に存在したとして
俺自身が地獄に落ちてしまっても別に怖いとも思わない
むしろ快適に過ごせそうだな
「んぐっ!?」
「・・・・・」
氷崎の顔を掴み力を入れ目隠しを外してやった
鋭く睨む目つきが俺を見上げている
「ぎゃははははは!そうだよその顔だ!くそ眼鏡!」
「うるせえんだよ」
「ぐがっ」
煩く叫ぶこの男の口に拳を思いっきりねじ込んだ
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