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拾い物?
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氷崎の病室から出ると真っ先に手を洗いに行った。
本当に汚くて吐き気がする。早く洗い流してあいつの所へ行かねえと…
「ま、これであいつも大人しくなるだろ」
手を洗いながらさっきの氷崎を思い出した。
本気で目をくり抜いたり舌を切り落としたりするわけないけど、あいつはそれを本気に受け取ってビクビク震えていた。
「…ふっ」
まぁ、“今は”しないだけだけどな。
もしあいつがまた新に何かする様ならその時はさっき言った事くらい俺は簡単に出来る
殺人犯でも何にでもなってやる。あいつの為なら喜んで牢屋に入ってやるよ
「さてと……」
手を洗い終え、新と待ち合わせをしている場所に向かった
その場所に近付くと新の小さな背中が見えた。
振り向き俺を見つけるなり、新は駆け寄って来る
「眼鏡‼︎てめえどこ行ってたんだよ⁉︎」
「………」
声ちょっと怒ってんな。
まぁ待ち合わせの時間オーバーして20分も待たせてたらそりゃ怒るよな……
「おいめが…っ⁉︎」
腕を引いて抱き締めると、新はびっくりしたらしく背筋をピンと伸ばした
「てめっ、何してんだよっここ病院だぞっ…」
「分かってるよ」
ただ自然と手が伸びてた。抱き締めたくなった。
「チャージ中」
「はぁ?」
「…………ごめん。ちょっとだけ」
冗談混じりにそう言ってまた抱きしめる
氷崎に会って改めてお前を離したくないって思った
俺は自分がどうなろうと別にいい
氷崎に言った様に誰かを殺す事になったとして、それで本当に地獄に落ちてしまっても別に構わない
誰よりも大事なんだ。大事だから…お前の為なら俺は何でも出来てしまう
「は、離せっ……見られてる……」
「いいよ別に…」
「……っ…」
俺はいつだって余裕が無いんだよ。
またお前が離れていかないか怖くて堪らない
余裕そうに見せてるだけで本当は俺だって必死なんだよ
ちゃんとした愛し方さえ分からない。
分からないけど俺は俺なりの愛し方でお前を幸せにしてやりたい
「…眼鏡……」
「なに?」
暫く抱き締めていると、新は俺の胸を軽く押し体を離された
「…こ、これ……落ちてた」
「え?」
下を向いたまま、新が差し出して来たのはボロボロになった小さい箱だった
「落ちてた?」
とりあえず受け取って中身を確認すると女物のネックレスが出てきた
「………」
「…………」
落ちてた…女物…新は照れてる。
「ああね。」
「ッ‼︎」
なんだそう言うことかと合点が行き、にやりと笑うと新は更に顔を赤くした
「そっか……落ちてたのか。なら交番にでも届けねえとな」
「えっ⁉︎」
新からのプレゼントだって事は百も承知で俺はそう言った
「無くした奴が可哀想だろ?今頃血眼になって探してるかもしれねえしな」
「ぁ……そ、それは…」
急に慌て始める新を見ると胸が疼く
ほんと、相変わらず可愛い……
「今から交番行く?」
「……だ、だめだ」
「なんで?拾い物なんだろこれ。」
「…………」
素直に俺へのプレゼントだって言って渡してくれたら良かったのに。
まぁこうやってからかえるのは俺得だな
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