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嘆き
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僕が目を覚まして、30分後に成海が目を覚ました。
成海が起きて最初に放った言葉は僕の体を気遣う言葉だった。
もう大丈夫だと返すと、その後二人の間で沈黙が続いた。
玄関で成海を見たときは、酷く冷たい目をしていたのに、今は普段と同じ目をしている。
僕に対して怒鳴る気配は無く、成海はどこか落ち着いていた。
「俺が聞きたい事……分かるよな?」
「…………ああ。」
会話が始まると、その場がピリリとした。
成海の声はいつもより低く、いつもよりはっきりと耳に響いてくる。
「あいつの事、大事に思ってたんじゃねえのかよ」
「…………大事だよ」
大事だからこそ……ああするしかなかった。
僕が呟くと成海は険しい顔をした
「お前との事がトラウマになってすげえ怯えてた」
「………」
「泣いてたぞ」
「……………泣かしたんだよ」
「………」
泣いてたなんてそんなの分かってる。全部分かってて僕は新を抱いたんだ。
「……僕を殴らないのか?」
「は?」
「殴ってくれて構わない。もう新に関わるつもりもお前と関わるつもりも無い。」
「………」
「……許してくれなくていい」
全部終わったんだ。お前との関係も、恋愛というものも……
初めて好きという感情を知って、今まで感じた事のない程、暖かい気持ちと幸せな思いで心が満たされた。でも恋愛が終わってしまったらその何倍も苦しくて辛い思いだけが残った。
こんな思いをするくらいなら、恋愛なんて知らなければよかった……
「もう……疲れたんだ……」
いつまでも続く胸の痛みだけが残るなら
新を好きにならなければよかった
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