アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
少しだけ
-
年が明けると、去年よりも忙しい毎日が始まった。
生徒会は新入生の為に行われる恒例行事のオリエンテーションの準備進行などを任され、春休みに入るまではいつにも増してバタバタと慌ただしかった。
三年生が卒業し、いよいよ僕達二年はこの学校の最上級生となる。
休みに入ってからも、生徒会はオリエンテーションの準備の為に学校に登校し、全く休みとは言えない日々を送っていた。
春休みもあっという間に過ぎ去り、入学式を迎えた。
去年同様、入学式に出席をすると新しい高校生活に胸を膨らませる新入生が目をキラキラと輝かせていた。
壇上に上がり、歓迎の言葉を述べる。
目の前にはこれから始まる三年間に期待と不安を抱いている新入生達。
『この日より、あなた方はこの学校の生徒の一員となりました。本校では……』
マイクを通じて体育館内に声が響く。
新入生にとって、今日が始まりの日。
僕達三年にとって、最後の一年の始まり。
『以上をもちまして、歓迎の言葉とさせて頂きます。』
会長として、学校に貢献出来る最後の年。
去年果たせなかった事を今年こそ完璧にやり遂げてみせる。
新入生に向かい一礼をする時、そう強く思った。
入学式が終わり、一度生徒会室に戻ると中には成海、新、大崎が僕を待って居てくれた。
「会長‼︎聞いて下さいよ‼︎俺さっき先生に新入生って間違われたんですよ⁉︎酷くないですか⁉︎」
扉を開けると、目を吊り上げた新がパタパタと走って来て、怒った声でそう言って来る。
「まぁ、新入生並みにチビだしな。」
「はあ⁉︎誰がチビだ‼︎大崎だって俺と身長変わらねえじゃねえか‼︎」
「で、でも…僕は間違われなかったよ」
「っ‼︎もうお前らは黙ってろ‼︎会長‼︎俺まだ一年に見えますか⁉︎」
「え…」
少し言葉を詰まらせると、「会長まで⁉︎酷え‼︎」って言われちゃった。
「ふふっ、嘘だよ。新は立派な二年生だよ。」
ぷいっとそっぽを向いた新の頭を撫でると、少し照れた顔でありがとうございますと言ってくれた。
生徒会。去年と何も変わらない…いや、取り戻せたこの雰囲気が僕は大好きだった。
成海、新、大崎が居て、僕が居る。
「………」
だが、生徒会のメンバーではないが、ここに良く顔を出していた日野は
始業式以来、パタリと姿を見せなくなった。
「どうした?」
「え…?…ぁ…いや…」
生徒会はいつも通り。それに僕は安心してる。
「なんでもないよ」
ただ、あのうるさい人物がぱったりと来なくなると、生徒会が少しだけ静かに思えた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
340 / 617