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不愉快だ
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「勉強を?」
「はい。」
廊下で立ち話しするのもなんだから、とりあえず生徒会室に来た。
舞園に何で日野に追い回されてるのか聞くと、彼女は「彼が私に勉強を教えて欲しいとうるさく付きまとって来る。」と言った。
舞園は女子生徒の中でも成績トップ。
彼はそれを知って、勉強を教えて欲しいと詰め掛けて来たのでしょう。と続けて舞園が言う。
それを聞いて、ああなるほど。とさっきの出来事と話が結びついた。
だけど心外だね。
テスト期間だって生徒会全員で日野の勉強を見てあげたし、まだ勉強し足りないと言うのなら僕に頼みに来るはずだ。
うるさいくらいに生徒会室に顔を出しに来てたのに、今は舞園が迷惑してる。
何故、僕や生徒会メンバーではなく舞園なんだ?
僕じゃ不満だと言うのか?
「とりあえず、僕から日野に聞いてみるよ。」
「お願いしますよ〜」
このやり取りで休み時間は終わってしまった。
明日の日程が記された資料を手に持ち教室に戻る。
記入漏れが無いかを確認して、放課後にはこれを全校生徒分、印刷しなくちゃいけない。
印刷は先生にお願いしているけど、資料の管理は僕達がしなければならない。
明日のオリエンテーション。
新入生には有意義な時間を過ごして欲しい。
日野の事も気になるけど、今は明日の行事成功が最優先だ。
だいたい、日野は何でテスト期間でも無いのに勉強を教えて欲しいと必死なんだろうか。
勉強に熱心なのは良い事だけど、あの不真面目な男が舞園に頼み込んでまで勉強したいと思う意図が分からない。
そして何故、僕を見て背を向けたのか。
前みたいにうるさく付きまとって来なくなったのは何故なのか……
「はぁ……それはどうでもいいか…」
授業が始まる中、前の黒板ではなく机に置かれたノートに視線を落とす。
シャーぺンで丸を描いて、何度もその丸をなぞり描いた。
日野が僕を見た時の顔が頭の中をチラついて、少しだけ胸の辺りがもやっとする。
「………」
また日野の顔が浮かんで指先に力を入れてしまった。
その瞬間、パチンっとシャーぺンの芯が折れた。
「どうでもいいでしょ……日野なんて」
シャーぺンを置き、片肘を机に着いて黒板を見る。
勉強に集中しようとしても何故か出来ない。
日野が勉強の件で僕を必死としなかった事に苛立ちが生まれ始めた。
「……っ」
『俺なら幸せに出来る』
そう言ったくせに、今日の態度はなんだ?
やっぱり気まぐれに過ぎない。口先だけの軽い言葉だ。
全く不愉快な男だ。
必要以上に懐いて来たかと思えば、ふとした瞬間に居なくなる。
人の顔を見るなり逃げるなんて。失礼にも程があるでしょ。
勉強だって僕に聞けば一番早いというのに……
「本当に……不愉快だよ」
この僕が、何で君の事でこんなにモヤモヤモヤモヤしなくちゃらならないのさ。
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