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分かってたよ
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何が起こったのか全然理解出来なかった。
大きな音がしたかと思えば、さっきの男が何かに怯えて、その何かに対してギャーギャーと喚き散らかしてる声しか聞こえない。
「ひ、っ」
掠れた声がして、やがて足音が一つその場から去って行った。パタパタと走って更衣室を後にした男に続き、今度はゆっくりとこちらに向かって来る怪しい足音が一つ。
「……か、かいちょ?」
とりあえず、絶対会長じゃないと思ったけど、微かな望みを持って会長を呼んでみた。
だけど当然、そこに居る奴は会長ではないから返事は返って来なかった。
「…………」
「…………」
ガラリと扉が閉まる音、そして鍵が掛かる音……
さっきの奴は居なくなったけど、確実に別の誰かが更衣室に入って来た。
「居るんだろ?」
「‼︎」
足音が止まると、シンと静まり返るこの更衣室の中にその声が響く。
ドクンと心臓が飛び上がり、目をカッと見開いてしまう。
「出て来いよ。」
「…………」
手がガチガチと震え額からは汗が流れて来る。
落ち着いた声、低くて濁りの無い声、この声は俺が一番良く知ってる奴の声……
「なんで出て来ないの?」
「…………」
一歩、そいつが足を踏み出す。
なんとなく……なんとなくだけどこんな展開になるとは思ってた…
この学校でイベント事があって、その中で俺が女装なんてする時……その時は大体良からぬ事が起こるんだと……
「新」
大きな影が覆い被さる。
俺の良く知る、その怒った声が頭の上から降って来ると、突然目から大量の涙が溢れて来る。
そう。これは全てを悟った事を表す涙だ……
「へぇ。随分と可愛い格好してんじゃん。」
「……(泣)」
はいはい……分かってたよ……
こんな展開になる事くらい……
「心外だな。なんで最初に呼んだのが俺じゃなくて樹なの?」
「…………」
顔を上げて上を向いたら、怒りオーラを纏ったお前(眼鏡)が居る事くらい……
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