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命令してよ
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あれから、新が作ったオムライスを俺の部屋に運び2人で食べた。
ダイニングで食べるつもりだったが、新が俺の部屋で食べたいと言い出したからそうした。
俺の家は一見外観は豪華そうに見えるが、実際俺の部屋はさほど大きくはない。というか、数ある部屋の中でなるべく狭い8畳の部屋を選んだ。故に、作った飯を置いて食べる程大きなテーブルはもちろん無く、他の部屋から白くて四角い小さな折り畳み式のテーブルを運んで来て、それを囲ってオムライスを食べた。
「ごちそうさま」
「…………」
食べ終えた後、スプーンを置いて手を合わせると新が心配そうな顔をして俺の顔を覗き込む。
「……………」
「………………」
大方、味の事を気にしてるんだと思った。
「……美味しかったよ」
「嘘だ‼︎」
「本当だよ」
「…………っ…」
新はまだ食べてる途中で、スプーンを握り締めて下を向く。
言った通り、普通に美味かったと思う。以前の真っ黒けの目玉焼きからは想像つかない程の成長ぶりだ。だけど新本人は今回自分が作った料理には全く納得してない様に思えた。
「自分で食べて美味しいと思わない?」
「………お前が作ったやつの方が美味かった」
スプーンを咥えて、悔しそうに呟く。その姿を見て欲情しそうになったことは、新には黙っておこう。
しばらく、オムライスを食べ進める新を眺めていると、照れくさいのか、新は俺からの視線に逃れようと辺りをキョロキョロと見渡し始めた。
「あっ‼︎」
「⁉︎」
そしたら、何を見つけたのか、新が突然大声を上げた。驚いてつい背筋を伸ばしてしまう。
「てめえ‼︎」
「え?」
新は急に立ち上がり、部屋の奥の棚へと歩み寄った。そして、その上に置かれた物を指さし、眉を吊り上げまた怒鳴り声を上げた。
「道理でてめえがコレ付けてんの見ねえと思った‼︎」
「コレ?」
なんだ?と思い、俺も立ち上がって新の方へと歩み寄る。
そして、新が指をさしている物を見ると、なんだコレの事か。と肩の力を抜いた。
「せ、せっかく俺がてめえにくれてやったのに‼︎何こんなとこに飾ってんだよ‼︎」
「いやほら……俺ってさ、大事なものは身に付けない系男子だから」
「なっ…んだそれ‼︎ふざけんな‼︎付けろよボケ‼︎」
「なに怒ってんだよ……失くしたり汚したりしたくないから普段はこうやって安全なとこに保管してんの。お前と出かける時とかは付けてたよ。見てなかった?」
そう言ってやると、新はピタリと動きを止めしばらく考え込んだ。
「し、知らねえ……」
「見てなかっただけだろ。ちゃんと付けてるよ。」
「…………」
『コレ』とは、新が以前俺に誕生日プレゼントとして贈ってくれたインターロッキングというネックレス。
学校は体育とか色々あるし、汗で汚れたり誤って失くしてしまったりすると嫌だから付けてない。万が一を考えて。
「俺は……お前がくれたピアス毎日付けてるのに」
けど新の反応を見る限り、俺に、毎日コレを身に付けていてほしい。と全身で言ってる様に思えた。
「……分かった。じゃあ命令してよ」
「は?」
俺を見上げた新の右頬に手を添えて、横髪を撫でる。
「今日、お前は俺に何言っても良い日だろ」
「…………」
こんな風に新が駄々こねたり、ワガママっぽい事や、子供みたいに小さな事気にしたり。
今まであった事だけど、今日の新はいつになく寂しそうな顔を見せる。
今だって、ほら。
「ん。新が俺に付けて?」
「……っ……」
小さな箱から、ネックレスを抜き取り新に渡す。
前屈みになると、震えた新の手で、ゆっくりと首にネックレスがかけられる。
「新……」
「わっ⁉︎」
俯いたまま、俺の首にネックレスを付け終えた新を見届け、そのままベッドに押し倒した。
「おまっ、俺まだ飯食ってる途中…」
「思ってる事、考えてる事言って」
「っ、は?」
俺の家に来てから、ほんの少し。
ほんの少しだけどいつもと様子が違う。
「め、眼鏡?」
俺が見てないと思ってる時にしてる表情とか。お前が飯食う時背中丸めるのは、決まって何かに対して悩んでる時。
「なぁ、新……」
俺、お前の中での些細な変化にだって、今なら気付けるよ。
「俺に、どうしてほしい?」
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