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ゲーム
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家に着いて、眼鏡の荷物を俺の部屋に移動させた後、2人ですぐに晩飯の支度をした。
冷蔵庫の中には歪で不恰好に切り揃えられた俺が切った玉ねぎが大量にある。
それを見ると眼鏡は大爆笑してた。
人が一生懸命切った玉ねぎを見て笑うとか、本当に失礼な奴だ。
「新は母親似だったりする?」
「…知らねえよ。けど、多分そう。親父の事は知らねえけど、親父に似てたらこんな顔にはならねえだろ」
フライパンからは香ばしい香りがしてきた。
眼鏡が肉と野菜を炒めながら、野菜炒めを作ってて、俺はその横で作り方を見てる。
「眼鏡はお袋さん似だろ?」
「いや、どちらかと言うと俺は父親似だよ」
器用にフライパンを扱い、俺が切った玉ねぎが飴色に変わる頃、炊飯器からご飯が炊ける音がした。
皿を出して、テーブルに並べて、お茶を淹れて箸を出す。
沈黙もありながら、今日はいつもより会話の多い日。
「新は俺の親父には会った事なかったっけ?」
「んー、直接はねえけど、見た事はあるぞ」
直接は無いけど、眼鏡の親父さんの事は知ってる。
広告とか、新聞とか、ニュースとかでもたまに見たりしてたし。
けど、眼鏡は断然お袋さん似だと思ってたけど、親父さん似なのか……
「いただきます」
「…い、いただきます」
目の前に眼鏡が座って、2人して手を合わせ頂きますをする。
箸と茶碗を持ち、ご飯を食べ始める眼鏡をちらりと見てみた。
「……………」
綺麗な顔立ちで、まつ毛は長くて、目もキリリとしてて、唇の形も綺麗だ。
俺的には、眼鏡の唇はお袋さん似だと思うんだけど、他は親父さん似なのかな。
親父さんの顔は見た事あるけど、近くで見た事は無いし、でもよく考えてみれば、確かに…親父さん似なの、かな……
「……?食べないのか?」
「っ、た、食べるっ…」
観察してたら、バチリと目が合い体が跳ねる。
すかさず俺も箸を持ち、目の前の野菜炒めに箸を伸ばした。
「…っ‼︎……」
ぱくりと一口食べてみると、ぞわぞわと全身の毛が逆立った。
「…美味え……」
毎回思うけど、こいつの作る飯は美味い。
「美味しい?」
「…おう」
「良かった」
ぐっと箸を咥えて、もう一度眼鏡を見る。
目を伏せて笑ってて、それがまた綺麗だ。
イケメンで綺麗だし、美味い飯も作れるとかどんだけだよ。
視力さえ良ければこいつは完璧人間を超えてたな。
それに比べて俺はどうだ。
料理一つまともに作れねえダサ男じゃねえかっ‼︎
「…お前が視力悪くて良かったわ」
「?…なんの話し?」
「いや、別に…」
明日は俺が飯作ってギャフンと言わせてやる。
視力以外にもお前に勝てるもんはあるって証明してやる。
「そうだ。なぁ新」
野菜炒めと白ご飯で口ん中いっぱいにしながら坦々と飯を食べていると、箸を置いた眼鏡が机に肘をつき、そう口を開いた。
口の中がいっぱいだったから返事は出せなかったけど、目で「なんだよ」と言いながら首を傾げてやると、眼鏡はニコニコと笑った。
「後でさ、ゲームしない?」
「へーふ?」
「そ。ゲーム」
ごくんと食べてたものを飲み込み、眼鏡が言った事に対して再度首を傾げる。
「俺んち今はゲーム機とかねえぞ」
「機械要らないやつだから。大丈夫」
「…………」
やたらとニコニコしてる眼鏡が不思議で堪らなかったけど、別に断る理由なんてなかったからひとまずOKしておいた。
「じゃあご飯食べてからな」
「…お、おう」
この時、俺の脳内ではポケ○ンのバトルBGMが流れていた。
「するからには負けねえぞ」
「望むところ」
「……………」
〉〉〉眼鏡が初めて勝負を仕掛けてきた‼︎〈〈〈
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