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鳴り止まない
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【ヴヴヴッー……ヴヴヴッー……】
携帯が鳴り止まない。
家にいる時以外にも、それこそ学校にいる間もずっと携帯が鳴るようになった。
【ヴヴヴッー……ヴヴヴッー……】
鳴り続ける携帯が不気味で仕方ない。
振動が絶えない小さな端末。
これまで電話に出る事は一度もなかったが、意を決し電話に出てみる。
しばらくこの生徒会室に新達は来なくなった。
もちろん、僕がそうするように成海にお願いをしたのだけれど。
まだ片付けきれていないこの部屋。
携帯のバイブ音だけが不気味に響き渡る。
「……もしもし」
それを断ち切るかのように、電話に出た。
「もしもし…………」
『…………………………』
返事は無い。人がこの電話の向こう側にいるという気配も感じられない。
「……もう掛けてこないで下さい」
『……………………』
生唾を飲む。無言が気持ちが悪くて、僕はその後すぐに電話を切った。
「っ……誰がこんな」
思わず携帯を握り締めてしまう。
気持ちが悪い。吐き気がする。頭が痛い。
少し休もう。最悪この状態がこれ以上続くであれば携帯番号自体を変えれば良いだけの話しだ。
今日の清掃活動の指揮は成海に任せてある。
僕は、僕のやるべき事をやるんだ。
まだ窃盗犯に盗撮犯の手がかりは掴めてない。
こんなに何も分からないものなのか?
同一犯、複数人、それとも……
「…………はぁ」
駄目だ。もう少しちゃんと冷静になろう。
こんなんじゃ日野に気付かれる。
「課題の採点……」
そう言えば、今朝も日野が終わらせた課題を僕のところに持ってきた。
その採点もしなくてはと思い、僕は会長机に向かい、そして椅子に腰をかける。
採点用紙は確か引き出しの中だ。
そう思い、机の引き出しを開けた時だった。
「……ぇ……」
採点用紙を取り出そうと中に手を入れた瞬間、ドロッとした生々しい感触が手の平に広がる。
咄嗟に手の平を引き出しから抜き、手についた白くて粘り気のあるものを目にすると、一瞬にして全身の血の気が引いていく。
「ゔっ」
ひどい吐き気に襲われる。すかさずもう片方の手で口元を覆い机から離れた。
「っ……はっ……」
手に付いてるこれは……なに?
「な…」
引き出しの中がここから見える。
僕が想像していたモノこそそこには無かったが、中にはまた、今度は大量の写真。
恐る恐る、引き出しを勢いよく引き、机からそれ自体を抜き取る。
バラバラと床に散らばる写真を見ると、僕は恐怖で身体が震えた。
「……全部…………僕、?……」
学校にいる時だけでなく、休日僕が行った先々で撮られたものも混じっている。
中には、日野と二人で歩いている時のものや、僕が着替えをしている時のもの……も……
「っ⁉︎」
ハッとし、僕は写真の山に咄嗟に手を伸ばした。
着替えをしている時の写真、幸いこの写真にはアレは写っていないが、もし写っているものがあったら……っ
そう考えると止まらなくなり、ベタつく写真の山を必死で漁った。
「っ……」
……ない……ない……
全ての写真に目を通したがアレが写っているものは一枚も無かった。
とりあえず安心した。だけどこのままじゃ……
【ヴヴヴッー……ヴヴヴッー】
「⁉︎」
机の上で振動する携帯にビクリとしてしまう。
画面には、非通知設定の文字。
「はぁ……っ……はぁ、……」
手には粘り気のある液体。
足元には僕が写った大量の写真……
【ヴヴヴッー……ヴヴヴッー……】
息が、上手く出来ない……
体が動かない……
【ヴヴヴッー……ヴヴヴッー……】
僕が一体何をした?
【ヴヴヴッー……ヴヴヴッー……】
僕が……どうしてこんな目に遭わなくちゃいけないんだ……
「はぁっ……はぁ……っ‼︎……はっ」
怖い……怖い……
誰かに見られてる。
いつ?今も?どこかで僕の事を監視しているのか?
……一体誰が……っ……何が目的なの……
「ゔっ、ゲホッ、ゲホッ……っは、…はあっ…」
体の震えが止まらなかった。
寒くて、嫌な汗が額から流れる。
胸が苦しくて、息も出来なくて……
「っ‼︎……」
目の前がグニャリと歪んだ瞬間、
生徒会室の扉が開いた。
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