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水田龍之介
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『もうご存知の方はいらっしゃるかと思いますが、次の生徒会役員を発表したいと思います』
マイクを通して、よく響くいっちゃんの綺麗な声。
ちょっと声枯れちゅう気がしたけど、まぁそれは俺が昨日散々いっちゃんを……ふふっ。
『とは言っても、まだ代理という形にはなりますが……』
いかんいかん。ちゃんと聞かな。
後で怒られそうやしなぁ。
『副会長の上城がしばらく不在する事になりました。恐らく正式な交代式までの復帰は難しいかと思います。そこで、副会長代理を会計の大崎忍、彼に任命します。そして彼が務める会計に、1年A組の……』
周りがまたざわつき始める。
代理、かぁ。大変やな……にしてもナルの代わりがしーちゃんって、やき姫は不機嫌やったが?
『水田龍之介君』
いっちゃんに呼ばれた生徒が、前に出る。
壇上を上がっていく水田という1年……どこかで見た事ある気がするけど……
「代理ならいちいち集めなくて良かっただろ」
「ええ〜上城先輩は?なんで入院なの?」
「つかあんな1年いたか?」
「会長はどうなるの?代理って事はまだ月島先輩のまま?」
私語が多くなってきたところで、近くにおった先生が注意をし始める。
色々思う事もあるやろうけんど、別にかまんやんか。
なんてこの時の俺は思いよった。
『おはようございます。1年A組の水田龍之介です』
深々と頭を下げて、満面の笑みを見せる会計代理。
あ、どこかで見た事あると思うたらこないだいっちゃんと渡り廊下におった奴やん。
『精一杯、貢献出来るよう頑張りますので、よろしくお願いします』
……あれ、もっと前にも見た事が……
どこやったけ。と悩みゆうと、ばちりと目が合った気がした。
気のせいかと思うたけんど、会計代理の子は俺を心なしか睨み付けてきた。
俺なんかしたかな?と首を傾げると、その子はニコリと笑ってお辞儀をした。
生徒会からの報告が終わると、そのまま教室に戻ってさっきの事を考える。
周りの話題はすでにいつも通りになっちょって、みんな代理についてはあんま気にしてないみたいやった。
まぁ、ナルのファンは相変わらず煩かったけんど……
「……あ、そうや。あの時、校舎裏で」
ファン、ファン……ファンクラブや。
俺がいっちゃんにファンクラブの事伝えに行くきっかけになった時、校舎裏で怪しいやり取りしよった奴やん。
「んー。けんど代理になるくらいやし」
「日野ぉ〜さっきから何ブツブツ言ってんだよ」
途中で前の席の奴に話し掛けられ思考が止まる。
グラビア誌を俺に見せながら今時の事を聞かれる。
「なぁなぁ、この中でお前どれがタイプ?」
「んー、そうやなぁ」
とりあえず俺は1番左の外人風の金髪美人を指さした。
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