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貴方が欲しい
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あれ、ボクは、先輩の事をどう思ってるんだっけ?
……月島先輩は綺麗で、多分この世界中の何よりも綺麗で……
だからボクは、ボクの手で先輩を汚したくて、壊したくて、先輩をあいつから奪ったのに。
「新、ここの記入抜かってるよ」
「あ……すみません」
ボクの望む先輩がここにいるのに。
「謝るくらいなら最初からミスなんてしないでもらえるかな?」
「え……」
「簡単な書類のはずだよ。次からは気を付けて」
「……は、はい」
ミスを指摘され、渋谷先輩は月島先輩の態度に驚きながらも作業に戻った。
長机には、生徒会役員である大崎先輩、渋谷先輩、そしてボクが座り、書類の整理をしている。
「水田くん」
「はいっ」
不穏な空気が流れる中、月島先輩はボクを呼び手招きをする。
「おいで。僕の仕事を手伝ってくれないかな?」
首を傾げながら微笑む先輩に、また胸がどきりとする。
「……はいっ」
すぐに駆け寄り隣に立つと、椅子を少し引いた先輩がボクの腕を引き寄せる。
「ほら、ここに座って」
「え、あっ……先輩っ……⁉︎」
先輩の膝の上に座らされ、すぐ目の前には大崎先輩と渋谷先輩がいるのに、ボクの手を握り締めながら月島先輩はそのまま作業を再開した。
「……っ、先輩……」
「……なに?」
「えっと……」
耳元に擦り寄る先輩の髪からふわりといいにおいがする。
「こんな事……先輩達が見てます……」
二人はこの光景に何も口を出さなかったけれど、視線を感じる。
見られている事にドキドキしてしまう。
「ああ、いいよ。気にしないで」
「っ‼︎うっ」
囁かれ、背中がぞくりと震えた。
「……せんぱ……」
「手を動かして。そこのチェック項目に印を付けてくれないかな」
「……あ…っ」
するりと先輩の手の平がボクの太ももを撫でる。
指示をされた通りに、ボールペンを持ってチェックを付けていくと、また月島先輩の甘い声が耳元で聞こえる。
「……そう。いい子だね」
「……っ、……ぁ」
手の平の動きがだんだん大きくなって、先輩がズボンの上からボクのを撫でる。
幸い、渋谷先輩達からは机が壁になってて見えないようにはなっていたけれど、後ろから首元に軽くキスをされ、ボクの中の不思議な気持ちがどんどん溢れてくる。
「先輩……今は駄目です……っ……」
「どうして?」
「どうしてって……その……」
ちらりと渋谷先輩達に視線を向けると、その瞬間に月島先輩の雰囲気が変わった。
「君達はまだ仕事が終わらないの?」
睨み付けるような、冷たい声。
「はぁ、もう今日はいいよ。帰ってくれないかな」
「はあっ⁉︎」
吐き捨てるような、鋭い口調。
「っ会長‼︎黙って見てりゃ……一体何なんですか‼︎」
きっとずっと我慢をしていた渋谷先輩が勢いよく立ち上がる。
月島先輩を睨み付けながら、それでも、何か信じられないような顔をしてこっちを見てる。
「新、何が言いたいの」
「だからっ、今日の会長は変だって思っ」
「変?僕が?」
張り詰めていた空気が切れる。
ブツン、と大きな音を立てながら。
「大体っ俺はそいつの事まだ認めてないですよ‼︎」
「僕が決めた事に君が口を出す権利は無い」
「なっ……」
……すぐ後ろにいる先輩から出る殺気。
先輩が今どんな顔で渋谷先輩を見ているのかボクには分からなかった。
「会長っ……」
「渋谷君っ、駄目だよ‼︎」
「離せ大崎‼︎」
「すみませんっ、僕達はこれで失礼しますっ」
「はぁっ⁉︎ふざけんな‼︎離せ‼︎…っ会長‼︎ほんとにどうしたんですか‼︎会長っ……‼︎」
強引に大崎先輩に押し出されながら、渋谷先輩達は出て行ってしまった。
それを見届けると、背中にずっしりと先輩の体重がかかってくる。
「……月島先輩……」
「なに?……」
さっきまでとは、まるで人が変わった様に、擦り寄る先輩の声は甘くて、優しくて、温かい。
「ごめんね。怖がらせちゃったかな?」
「……っ、いえ……」
綺麗な手が頬に伸びる。顔を引き寄せられて、先輩の青い目にボクが映る。
「月島せんぱ…んっ」
後ろから抱き締められながら、唇が重なると体の奥が熱くなった。
優しくてゆっくりとした甘いキスを何度も繰り返しながら、先輩はボクを見て微笑む。
「っ……せんぱい……」
胸が苦しい………先輩が、ボクにだけ優しくしてくれる。
この綺麗な人を、誰にでも優しく振る舞う事の出来るこの人を、ずっとボクは欲しかった。
「……っ……好きです……先輩っ……」
自然と口から出た言葉……溢れて、溢れて……
止まらないこの気持ちの正体がやっと分かった。
「月島先輩……っ……先輩が好きです……」
貴方を汚したい。壊したい。泣かせたい困らせたい。
全部ボクを思って、ボクだけの為に、ボク以外の人間なんて考えられない程に。
「先輩しかいらない……っ月島先輩以外ボクは要らない……っ……」
髪を撫でる先輩の手が好き。ボクを見つめる先輩の目が好き。優しい声が好き。金糸のようなその髪が好き。
先輩にもボクを好きになってほしい。もっとボクでいっぱいにしたい。
「……先輩がいないとっ……ボク…死んじゃう……」
こんなに欲しいのは月島先輩だけなんだ。
誰にも渡さない……もう絶対に、誰にも渡さない……
「りゅう」
安心出来るその声に誘われ、先輩を見上げる。
「……っ……せんぱ…」
微笑む月島先輩の目には、ボクは映っていない。
「僕も好きだよ」
…先輩は、きっとボクを見てくれない。
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