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《本番》7
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「…お世話になりました」
先輩の言葉を受けとり、答えるアキラ。
「しおらしいサクちゃんなんか珍しいね…お疲れ、助手はしないの?」
撮影助手たちも、集まってきてアキラに話しかける。
「はい…これで最後にします」
かなり疲れているアキラだが、ちゃんと答えている。
「そっか、残念だね…綺麗ドコロがまた減っちゃうなー」
そう呟いてアキラを抱きしめ、キスをしてサヨナラを言う助手。
「どこかで会ったら声かけて…」
もう一人の助手も言葉をかけ、掠めるようなキスをして去っていく…
「はい…」
助手たちのお別れの儀式に抵抗するでもなく、アキラは大人しく流している。
「…元気で」
「BOUSのサクヤ、よかったぜ…忘れんなよ!」
残り2人の助手たちも思い思い言葉を送り…
唇へキスを落として離れる。
「はい…」
優しい監督や助手の言葉に、少しだけ胸が熱くなるアキラ。
10年近く働いたBOUS…
自分では、そう、思っていなくても…かなり影響を受けた場所だから…
ここの皆に…
ここで過ごした時間に…
「…ありがとうございます」
無理矢理求められることも日常茶飯事だけど、その分…迷惑をかけたり、助けられたりもしたから…
素直な気持ちでお礼をいうアキラ。
「よしよし…長い間お疲れサン…ほな、映像編集いくで」
監督はアキラの頭をなでて、他の助手を呼んで立ち去る。
去り際に振り返って…
「サクちゃんは、朝9時頃まで休んだらええで…9時過ぎたら社長とこ行って、書類渡しや…」
「はい…」
こくんと頷くアキラ…
終了撮影の監督と助手たちが去って、撮影ルームは静まりかえる…
時刻は朝方6時前…
ほぼ徹夜のハードな撮影をなんとか終えて、アキラは溜息をつく…
「…終わった」
撮影は…取りあえず、すべてスミ。
「お疲れさまっス…シャワー行かなきゃ、凄い血糊ですよー、サクヤ先輩」
挨拶を終えたアキラに、今日の撮影相手のカズキが、タオルを手渡しながら…笑顔で話かけてくる。
「はは、お前もな…、行こうか…」
アキラはタオルを受け取り…軽く笑ってカズキを呼ぶ。
「はい」
頷いて、マイペースに歩きだしたアキラの後をついていくカズキ…
早朝なので、廊下の電気は消えていて、薄暗い中、血ノリのついた顔で歩く2人は、ハタから見たらかなり恐ろしいだろうけれど、朝早すぎて誰も起きていないので、気にすることなくシャワールームに入っていく…
「…はぁ、じゃ…あとでな」
軽く溜息をついて…
アキラは後ろをついて来たカズキに言ってシャワーを浴びる為、簡易個室へ入る…
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