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おかしいでしょ?
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「兄上、どういう事?」
俺の左足首に巻かれた真新しい包帯、深く頭を下げていた妹、何より、俺のことを「彼」と呼んだ兄。
どれもこれも、奴隷には相応しくない対応。
「レオ…」
主人がひどく強ばった顔で呟く様に言った。
レオ。
口調から察するに、ニックネームだろう。
多方、レオンとか、そんな名前だ。
この弟は、とても常識的で、普通で。
常識がないのは、主人とその妹君だ。
奴隷、というのを理解していない兄妹。
物に包帯を巻くか?
物にお辞儀をするか?
物を「彼」と呼ぶか?
答えは―否。
物は壊れればただ捨てるし、挨拶なんて無しに使う。
物に、〝自我〟なんて無いのだから。
それを、真っ向から否定する行為を目の当たりにしたら。
自分の知っている〝常識〟を、否定されたら。
それは違うのだと、今まで認められてきた〝当たり前〟を否定されたなら。
〝怒る〟のは、普通だ。
「奴隷はモノなんだよ?
なのに、兄上もレイラもおかしいでしょ?」
その瞳は、目が合った者を凍てつかせる程冷たく、でもその奥には静かに燃え上がる怒りが揺らめいていた。
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