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準備 (アイヴァンside)
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パチリ、と目を覚ませば外はまだ暗かった。
「……」
主人はまだ寝ているようだし、先に身支度を整えようと上半身に力を込める。―が。
「………」
起きれない。
別に、寝た状態から起き上がれなくなるほどこの体の筋肉が衰えている訳じゃない。
単に、主人の腕が首あたりにまわっていて、寝ているとは思えない力強さで見事に囲われて拘束されているだけだ。
「…ふぅ…」
溜め息が洩れる。いや、仕方が無いだろう。隷属として、主人より早くに身支度を整えておかなくてはならないのは基本的な事というか。それを不可抗力とはいえ、無下にするのは…
と、そんな事をグルグル考えていれば後ろで主人が身じろぎした。
「…ジョナス様?」
「……んん…………」
なんとか顔だけ後ろに向ければ、主人はまだ目を閉じていた。
腕の力は緩むどころか増していくばかりだ。そろそろ使用人たちも起き始めてしまう。それまでには何とかしなくてはならない。
「…アイヴァン……」
寝言が、〝私〟の名前を呼んだ。ふわふわした、まるで無防備な声で。
こういうところが、天然でズルイのだから、どうにもこの主人はいただけない。
そんな事をされればいくらなんでも無理に抜け出す気など失せてしまう。
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