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もっといい物
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「はい、アイヴァン、君の服だよ」
「ありがとうございます…」
いやいやいや。
だから、おかしい。
どうして奴隷に着せるものが絹でできているんだ…
幾ら体面的な問題でそれなりの服を着せた方がいいとはいえ…
一見してみれば、普通の召使と変わらないだろう、この服。
「本当はもっといいものを用意したかったんだけどね、まわりの反対があまりにも凄くて」
これ以上いい物をって、この主人、奴隷が何なのか本当に理解してるんだろうか。
「もうすぐ朝食が届く筈だから、座ってよう」
「……はい…」
主人の椅子を引こうと手をかければ、
「ああ、ダメダメ。そんな事しないで?」
制止された。
「奴隷として当然のことを―…「ああもう、ちょっといい感じになったかなって思ったのに」」
甘い。
椅子を引くことを諦め、互いに向かい合って円卓の前に腰掛ける。
「ゲームはまだまだ序盤ですよ?」
「うん、そうみたいだね」
残念、なんて。
世間知らずで、常識知らずで、何処か抜けてるのに、その笑顔は、仕草は、〝私〟の下に押し込んだ〝俺〟を引っ張り出そうとする。
ノックがしたのはその数秒後。
紅茶の、独特な香りがそれまでの空間を塗り替えて満たした。
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