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勢いで
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「…えっと、ここ、…………………どこ?」
「……そうなると思いましたよ」
「ご、ごめん……でもまさか僕、ここまで自分がこの国のこと全然知らな―むぐっ!?」
「…こんな街のど真ん中で世間知らず発言は控えて下さい。売られたいんですか」
勢いで取り敢えず主人に任せてどうにかこうにか王城を抜けてくると、広場まで来ていた。
………本人はそもそも現在地点を把握する術すら思いつかないらしいが。
「あそこの看板を見てください。ここは王城からさほど遠くない広場ですよ。
取り敢えず深呼吸でもして落ち着いてください。どうしていきなりお怒りになったのかは後でいいです」
「…ぷはっ………うん…」
自分よりも十数センチは大きい相手の背をさすってやると、少しは落ち着いたらしい。『あの目』はもうしていなかった。
「…………僕ね、悔しかった」
さりげなく道の脇に寄せながら語り出した主人に耳を傾けた。
小道の横の店の前に座り込んで、店側に主人を押しやる。
いくらなんでも、こんな白昼堂々と誘拐をするような奴らはいないだろうけど、用心に越したことはない。
現に、主人には好奇の目が集まりつつあった。
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