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決壊
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―ギチッ………
「う゛…っ」
硬いベルトのような革製の紐で傷の両脇をきつく縛られ、止血された。
「そう簡単に死なれちゃあ面白くないからな………」
ぐったりと壁に寄り掛かって上を見上げると、手錠を嵌められた手首はさっきの痛みで暴れたせいで擦り傷が滅茶苦茶に重なってひどい有様だった。
ツゥっと血が腕を通って顔に滴る。
「お前はいいな…必要以上に喚かない。
大抵の奴はそこが面倒だ。必要な沈黙と不要な騒ぎの区別がつかない………」
クスリ、目を細めて笑う姿は一見すれば男娼の様にも見える。
それ程、艷やかな笑みだった。
いつもなら軽口を叩いて返していただろうが、今はそんな余裕ない。全身を蝕むような痛み。
幸いにも切られた脚はまだ僅かながらに動きそうではあった。それがあとどのくらい持つかは別だが。
このまま放置すれば、間違いなく脚は動かなくなり、終いには壊死するだろう。
「常に冷静 目の前に置かれた危機的状況が例えどれだけのものでも絶対に怯まない…何処から来る?お前のその強さ―頑丈さは」
ガンジョウ。がんじょう、…………頑丈?
これが、頑丈だと?この、既に決壊を始めている存在が?
「………っはぁ、お誉め、いただ、き…っ、光栄の至り、です………っは、」
徐々に体力が奪われていく。元から少ない体力が一体何時まで持つのか、出来る事ならもうここで途切れてしまえばいいと思った。
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