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国際犯罪
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「これはこれは、アーノルド殿下でありましたか!恐れ入った、そんなにこの奴隷にご執心で?」
ポカン、としてしまった。
何を考えているんだ、この人は。
「彼は奴隷じゃない。少なくとも、僕にとっては。そして、これからは―」
そこで主人は言葉を切った。クロード卿はまたあの身売りの様な笑みを浮かべ、ドアへ向かっていき、躊躇いなく大きく扉を開けた。
「ご覧の通り武器は全て部屋の中。私に抵抗する気はありません。彼もまだ意識は繋ぎ留めておられる。…切りつけた脚がどうなるかは解りかねますがね」
「…!」
「尋ねられた事に関しては誠心誠意持って答えさせていただきましょう。どうぞ拘束なり何なりなさってください」
…理解、不能。あの人は、昔から謎だ。
「…縄をうって。それからすぐに医療班を呼び出して」
「はいっ」
意味が解らない。あやふやした意識はトントン拍子に進む現実から俺を取り残させていた。
「…アイヴァン………」
「…じょなす、さま…」
「ごめん、遅くなった。本当に、ごめん…!」
カチャン、と音を立てて錠の鍵が外れた。そのまま主人に抱きこまれて、冷えた身体がじんわりと温まっていく。
「すぐに、医療班が来るから。脚の傷と、輸血。それから戻る前に病院で一応検査ね」
「はい……」
ああ、なんだか眠い。血が足りないし、酸素も足りない。唯一、主人の体温が暖かった。
この世でただ一人、俺を対等に見てくれるその人に、俺は身を委ねた。
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