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ニックネーム
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「出来る訳ないでしょう」
「えぇ〜…」
主人に抱き締められながらきっぱり言い切る。
「だって本名で呼びたいよ…あ!」
「何ですか」
満足げにニコニコ笑う主人。さながら幼児だ。
「じゃあ、〝アイヴァン〟からとったニックネームだってことにすればいいんだよ!」
「…お好きにどうぞ…」
主人なら例え相手が奴隷だとしても渾名でも何でも付けるだろう。怪しまれる確率は限りなく0に近い。
…ああ、第二王子なら感付くかもしれない。あれでいて、彼はすごく勘がいい。
「…ところで、つかぬ事をお伺いしますが」
「うん?」
「エドガー氏とは仲直りされたのですか?」
「うっ…」
苦しそうに呻き、苦虫をかみ潰したような顔をする主人。ああ、やっぱり。
「私は平気ですから………」
そう言いかけて、ふと顔を上げると、不服そうな顔をした主人がいた。
「……」
「………」
「…〝俺〟は平気です」
「…うん」
そっとベッドに俺を横たえ、「すぐ戻ってくるからね!」と言って病室を飛び出した。
どうやら敬語も直さなければあの主人は不満らしい。
ああ、何だか廊下が騒がしい。エドガー氏の焦った声が聞こえる気がする。あとは、ざわめく声。
でも、平和な雰囲気が空気を伝って届いてくるから、大方バカ正直に堂々と頭を下げた主人に驚いているんだろう。
その様が頭に鮮明に浮かんで、ひとり静かに笑みながら眠りについた。
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