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英語の授業で…
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昼休みも終わり、最後の授業が始まる。今日は5時限で終わりだ。
キーンコーンカーンコーン…と鳴り響く音で秋人は目を覚ました。ふあぁ…と可愛らしく欠伸をしている。
「ん、うぅ…ここ、どこ?」
どうやら寝ぼけているようで、おれの膝に乗ったままキョロキョロと周りを見ていた。
しばらくボーッとしたあとに思いだしたようで「あっ…!」と可愛らしい声をもらした。
ちなみに今は英語の授業中
「秋人、まだ眠たいなら寝ていてかまいませんよ?」
周りに聞こえるかどうかの声で耳打ちすると、くすぐったいのかピクピクっと体がはねた。そしてゆるく首を横に振った。
「ふふ、いい子ですね」
「ぼく、いいこー?」
「はい、すごくいい子ですよ」
「ふふふ、うれし…い〜」
秋人と小声で話ていると、思いのほか先生にまで聞こえていたらしく、案の定当てられてしまった。
……完全におれのせいだな
「じゃあ杉田にはこの文を英語に訳してもらうかな!」
……面倒くさい
はぁ…と心の中でため息をついた。
生憎おれは高校生ではないし、外国で過ごしていた時期もある。だから教師が望んでいるであろう間違いはしなかった。
「…じゃ、じゃあ次…えーと黒田説いてみろ」
「…ふぇ…ぼ、ぼく?」
おれが言い終わると、今度はおれの膝の上でのんびりしている秋人にターゲットを変えた。
秋人はいきなり当てられ戸惑っている。きっと教師も秋人ならわからないだろうと思ってるにちがいない。
……こういうのが嫌になる。
「あきら、ぼくなにしたら…いいの?」
ぎゅっとおれの服を掴んで上目遣いで言われたらどうしようもない。
おれは秋人の身体の向きを黒板が見えるようにした。
「いいですか?あちらに書いてある白い文字を英語に変えるんです。わかりましたか?」
頭をゆっくり撫でながら優しく言うと、コクリと頷いた。
「うん、わかったよ。んーと…
『こんにちは、私は亜紀。今からいつもの公園に行こうとしてたのよかったらあなたも一緒にどう?』…かな」
「……」
教室中がしーんと静まるなか、秋人はなおも滑るような発音で続けた。
『丁度公園のちかくに新しいアイスクリーム屋ができたらしいの!楽しみね♪』
「……」
秋人が言い終わったあともこの静かさだった。
きっと誰も想像してなかったのだろう。秋人が英語を喋れることなど…
「お、お見事!!すごいじゃないか黒田くん!!正直、驚きました」
しばらくして先生がそう言った。
そのあとに周りから次々と声がかかったけどうるさくてなんて言ってるかわからなかった。
「…えへへ、褒められちゃった」
当の本人が嬉しそうだからまあいいか。
そう思ってしまうほどにおれは秋人に溺れているのだろう。
(おれも…バカになったな)
時々、自分で自分を笑ってしまいそうになる。
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