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1歩
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秋人に制服を着せて2人で朝食を食べる。
だいぶ秋人もフォークの使い方が上手になった。
「ごちそーさま…でした?」
この間おれが教えた言葉を使い、合ってる?と首を傾げてきた。
可愛すぎる!!ちゃんと合ってるよ秋人!!
「ふふ、ちゃんとごちそうさまが言えましたね。すごいですよ」
そう言ってニコッと笑うとつられて秋人もにへっと笑った。
「ではそろそろ歩く練習をしましょうか」
「うん、おね…がいしま、す」
まだ途切れ途切れの言葉でペコッと頭を下げる。
その子の小さな手をとり、ゆっくりペースで一歩一歩進んでいく。
「…う、なんか、じんじんする…ッ」
長年あの部屋の中であまり歩かなかったせいか、足の筋肉が働かなくなっていた。
足首がグラグラと揺れて今にも倒れそうだ。
「秋人様、ほら、前を見て。ゆっくりでいいので進みましょう」
「う…ん、わかってる…よ」
キュッと口を結んで肩の力がとれたのがわかった。そして勇気をもって一歩秋人がふみだすと、それに応えるかのようにグラついていた足首がそれを支えた。
「わあ!!ね、あきら見た?ぼく、ぼく歩けたぁ」
くるっとこっちを振り向いて本当に嬉しそうに肩を揺らした。
その様子を見ていると胸が痛くて仕方がない。
「っわ!?…ど、したの?あきら?」
おれは自分でもわからないまま秋人を抱きしめていた。泣きたくなんかないのに涙が自然と止まらなくて秋人の肩を濡らしていった。
「……すごいです、ほんとうに…」
「……うん」
また離れていきそうな秋人の身体を強い力で抱きしめてると、安心させるみたいに秋人が背中を撫でてきた。
好きだよ秋人……この世界で一番
絶対なにがあっても守ってみせるから。もうおれから離れていかないで…
おれは何かに縋るように今度は優しく抱きしめた。
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