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嘘と切なさの間
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葛城は反らした瞳を戻すと、彼の顔を真っ直ぐ見つめた。そして自分の思いを口にしたのだった。
「――…阿川、俺はお前の気持ちには応えられない。これが俺が出したこたえだ」
「……葛城さん――」
彼の口からその言葉を聞くと、阿川は悲しげ表情で顔を曇らせた。
「俺は男で、お前も男だ。同じ同性を好きになれるお前とは違う。俺達がしようとしていることは本来間違ってることだ。それにお前は俺よりも年下じゃないか。好きだの愛してるだのそれは、一時の感情かも知れないだろ……?」
葛城は阿川にそう話すと、決してその瞳を反らすことはなかった。その瞳の奥は研ぎ澄まされた刃のように無感情に等しかった。
阿川は葛城の口から思いを告げられると、ショックが隠せなかった。ただ無情にも、二人の間に空しい時間だけが流れたのだった。
「俺は一時の感情に流されるほど、もう子供じゃないんだ。人生はまだこれからなんだ。こんなところで道を踏み外す暇があったら真っ当な大人になれ」
葛城は最後、彼にそう言い残すと自分から去ろうと背中を向けたのだった。
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