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「……何を言ってるんだ。俺はお前の気持ちには応えられ――――」
そう言って言い返そうとすると、彼の瞳の奥には自分しか映っていなかった。熱のこもった眼差しで見つめられると心臓が高鳴った。それと同時にその瞳の奥に吸い込まれそうな気がしたのだった。
「葛城さん、もしかしたらキスしたら何か解るかも知れませんよ?」
「えっ……?」
「最後に貴方を抱き締めてキスしてもいいですか?」
「あっ、阿川………!」
「貴方に触れるのは多分、これが最後になると思いますし。だから最後にもう一度触れさせて下さい…――」
葛城は阿川のその言葉に身体がびくつくと、そのまま下を向いて顔を赤くさせたのだった。
「好きにしろ…――――!」
「ありがとうございます…………」
阿川は葛城の身体をぎゅっと抱き締めると、壊れ物に触れるように、そっと唇を重ねてキスをしたのだった。その切ない口づけは、初めて感じるようなときめきだった。あの夜、強引にキスされた時よりも優しく、そして胸がぎゅっと締め付けられた。 葛城は彼のキスに初めて感じた気がしたのだった――――。
「ンッ………」
「葛城さん…………」
「阿川…――――」
名前を呼ばれると葛城は身体中が熱くなった。
そして気がついたら自分の腕を彼の背中にまわして抱き締め返したのだった。
「葛城さん大好きです………」
阿川は最後に自分の想いを口にすると、抱き締めた腕をほどいたのだった。
その瞬間、葛城は腕の中から解放されると、ただ胸の奥が切なくなった――。
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