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揺れる想い
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阿川は葛城に最後にキスをすると、その場で潔く身を退いた。
「葛城さんの気持ちよくわかりました……。俺はきっとこの先ずっと、貴方のことが好きだと思います。忘れられない人になるかも知れないですけど、どうか心の中で貴方を想うことを許して下さい…――」
「……じゃあ、葛城さん。これで貴方とは本当にお別れです。今まで色々とありがとうございました。 そしてどうか元気で――」
阿川はそう言って葛城の顔に手を差しのべると、彼の右の頬を撫でたのだった。その表情は切なく、そして失恋したような表情だった。
葛城は阿川にそう言って別れを告げられると、呆然とした表情で立ちすくんだ。
阿川は葛城に背中を向けると、地面に置いていた段ボールの箱を両手に持って、非常階段の入口へと向かったのだった。
葛城は彼の背中を見つめると、急に心の奥がざわついたのだった。最後にキスされた時の胸のときめきが甦ると唇は震えた。そして気持ちがざわつくと、ハッキリとした応えも出せないまま、後ろから彼の腕を掴んで引き留めたのだった。
「待て、阿川行くなっ……!!」
葛城は自分の目の前から立ち去る彼を咄嗟に引き留めると、その拍子に阿川は持っていた段ボールの箱を両手から地面に落としたのだった。
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