アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*
-
俺は卑怯だ……
本当はハッキリとしなくちゃいけないのに、俺はあいつに甘えてる……
狡くて卑怯なのはきっと俺の方だ。
葛城は自分の気持ちが昂ると、再び涙を流したのだった。阿川はそんな彼のもどかしい気持ちを理解すると、スッと指先で涙を拭った。
「――じゃあ、ちょっとは俺のこと受け入れてくれる気持ちがあるって思ってもいいんですか?」
「葛城さんは俺のこと考えてくれるんですよね?」
阿川は最後にそう聞き返すと、葛城は涙を流しながら声を震わせて返事をした。
「おっ……俺は直ぐには答えは出せないぞ。そっ、それに好きか嫌いかもまだよくわかってないんだ……。こんな気持ちでお前を引き留めるのも自分でもどうかしているが……だけどお前が俺の前から居なくなるのは…――」
葛城はそう言って涙を流すと、片方の手で自分の顔を隠して涙を堪えたのだった。
「………葛城さんって恋愛に不器用な人なんですね。でもそこが可愛いです。そんな風に泣かれるとまた貴方を抱き締めたくなるじゃないですか?」
阿川はそう言って葛城の前で優しく笑うと、明るく話したのだった。
「よし、じゃあ一歩前進ですね?」
「阿川……?」
「俺こう見えても追いかけられるより、追いかけるのが好きなんです。遠回りかも知れませんけど、 いつか好きっておもわれるような男になって、その時は貴方を見返してやりたいと思います……!」
「お前……」
「俺。葛城さんに好きって言ってもらえるように努力しますから、その時は逃げないで下さいね?」
阿川は葛城の複雑な気持ちを理解した上で、前向きにとらえたのだった。
そんな彼のひた向きな想いに、自分の心は揺れたのだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
182 / 235