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上の階から一気に階段を下へとかけ降りると、葛城は一番下の階段へと到着した。
その時には既に顔から汗が滲み出ていた。そして息を切らしたまま、非常口の扉を開けてビルのエントランスへと出たのだった。
エントランス付近には人影がまばらだった。葛城はエントランスの中央に向かって辺りを見渡すと彼の姿を探した。
「クソッ……!」
「阿川の野郎っ……!」
葛城は阿川の彼の姿を必死で探しながらも、顔から汗が止まらなかった。
戸田課長に彼を連れ戻すと言った以上、その意志は固かった。
右手に握ったままの、彼の出した退職届けをフと見つめると様々な思いが混み上がったのだった。
そして彼が自分の目の前から黙って姿を消すことに、激しい憤りを感じたのだった。
「クソッ……!」
「俺の前から勝手に消えるなんて絶対に許さないぞ阿川っ……!」
葛城はそう言って感情を昂らせると、出入口付近にいた受付嬢に咄嗟に話しかけたのだった。
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