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「すまんがここを箱を持った男が通らなかったか……!?」
「ええ、見ましたよ。確か黒髪で背が高い方ですよね?たった今そこから外に出て行きました。両手に箱を待っていたから、もしかしてここをお辞めになる方でしょうか?」
受付嬢はそう答えると、回転扉の方を指指した。
「そこから外に出て行きました」
「すまん、ありがとう……!助かる……!」
葛城は彼女にそう話すと、慌てた様子で扉に向かって走って行った。そして回転扉をくぐると、ビルの外へと飛び出した。
必死で周りを見渡すと、そこで目が止まった。遠くの方に阿川の姿があった。彼は後ろ向きでテクテク歩いていた。その後ろ姿はどこか淋しそうだった。
葛城は彼の姿を見つけると、自然に走り出した。
そして無我夢中で声をかけたのだったーー。
『阿川っっ!!』
その瞬間、彼は後ろを振り向いた。
その表情は驚いている様子だった。そして、どこか泣きそうな顔をしていた。
葛城はそこで彼を引き留めると、彼の出した退職届けを握り締めたまま、息を切らした様子で駆け寄って話しかけたのだったーーーー。
━━━━━END━━━━━
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