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「ーーこれでよしと。これなら葛城さんが会社に来た時、大丈夫だ。あとは最後にこれを…………」
その瞬間、俺は持っていたペンをデスクの上に置き、椅子の上で深いため息をついた。
彼が会社に来なくなって5日目が過ぎた。その時
すでに周りの人達は、彼のことで噂をしていた。
誰かが噂をしていた。
「葛城、最近来ないよな?もしかしてあいつ辞めるのか?でも、あいつが辞めても戸田課長は喜ぶけどな!」
ある日、オフィスの通路で誰がそう言って彼のことを冷やかしていた。俺は無言でそいつのネクタイを掴むと睨見つけた。
だって腹が立った。どうしようもない。つい感情的になると、俺はそいつに向かって「彼のことで悪口言ったら俺が許さない!」とムキになりながらそう言ってしまったのだった。
我ながら大人げない。だけど彼の悪口を言う奴は、俺は許せなかった。そしてその日は、自分でやってしまったと反省した。
だけど周りがザワつくのは解る。彼みたいな真面目な人が、急に職場に来なくなったら噂をするさ。
だけどその原因が俺だとは周りには言えない。
そんな時、我ながら自分が情けない…………。
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