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僕の初挑戦
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何が起こっているかなんて全然わからない。
でも、これだけはわかる。
もう、あの日々は帰ってこない。
もうヒトミは僕に笑いかけてはくれない。
「浜田に聞いた。昨日、お前浜田に告ったんだってな。そんで、フラれたから殴ったんだって?マジきめぇ。」
ああ、シュウくんか。
なるほど、こう来たわけか。
確かに、僕を脅したり友達を傷つけたりするよりよっぽど効果がありそうだ。
頭いいなぁ。
まぁとりあえず、僕のしなきゃいけないことは決まったかな。
笑え。
演じなくちゃ。
「ふふ。バレちゃった?みんな全然気づかないからいけると思ったのに。」
僕をなめるなよ。
今まで何回嘘の笑いを使ってきたと思ってるんだ。
バレるわけないだろ。
ヒトミでさえも。
みんなが僕から離れれば、みんな安全だ。
嘘と、笑顔と、現実と。
受け入れればきっと心も痛くない。
ヒトミの拳が頬に当たって、僕は面白いほど遠くまで飛んだ。
ドガッと壁に頭をぶつけて、頭の中と視界がぐわんぐわんいっていた。
ついでに胸の辺りも強くぶつけたみたい。
血、吐きそう。
口内まで上がってきた血を手で抑えて、どうにか吐き出すのを我慢した。
「浜田に謝って、今すぐここから消えろ。そんで、二度と顔も見せるな。」
そこまで拒絶されると、逆に冷静になれた。
なんでだろ?
すごく悲しい筈なのに。
寿命と体力だけじゃなくて、感情までなくなっちゃったのかな?
ふと顔を上げると、今にも泣き出しそうなヒトミの顔が見えた。
ねぇ、泣かないでよ。
僕を恨めば、泣かないで済むのかな?
泣かれるくらいなら、怒られたほうがマシだよね。
「はぁ〜?謝るわけ無いじゃん。僕は絶対謝らないね。それよりさぁ、殴られたほっぺ痛いんだけど。慰謝料請求するよ?」
カッ、とヒトミ顔が赤くなった。
いつも、ヒトミが怒った時に起こることだから、僕の作戦はうまくいったみたい。
「テんメェっ!!」
バコ、ともう一発。今度もかなり痛い。
そろそろやばいみたいだ。頭も視界もグルグルのクラクラだよ。血も吐き出しちゃいそうだ。
フラ、と立ち上がって、ドアに向かう。
「どこ行くんだよ!?」と言われたから、「顔見たくないんでしょ?帰るに決まってんじゃん。」と言う。追ってこないから、急いで保健室に行った。
心臓がうるさい。
前が霞む。
これでよかった。
良かったんだよ。
ヒトミが傷つかないで済むなら、それでいいんだ。
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