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僕の現実問題
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チャイムが鳴った。
楽しい時間の終わり。
「あ"ぁ"〜」
行きたくなーい!
「なんて声出してるの。」
「だって〜…」
行きたくないんだもん。
ブツブツと呟きながら荷物を持つ。なんか言いながも結局は行くから僕は偉いと思う。
「じゃあ如月先生、逝ってくるね。」
「いってら。あと変換おかしいから直しとけよ。」
ガラガラ、と保健室のドアを閉める。
ハァ〜〜〜〜
あー、ため息出るわー。
テクテク、トボトボ。そんな効果音が出そうなほどちまちま歩く。
そんなにちまちま歩いてるのにどんどん教室は近づいてくるから嫌だよね。
これ以上の不幸があるかってね。
「「あ。」」
「……げ。」
あった。今起きてるよ。
まさかのシュウくんとリュウくんに遭うっていうね。
くるっと方向転換して逃げようとするも、シュウくんに腕をホールドされた。
「久しぶり!アズマくん!ごめんね?僕がアズマくんのクラスの子達につい言っちゃったせいで…」
んー?違うよね?
〝つい〟じゃなくて〝わざと〟だし、ついでに言うとそれ嘘だし。
あと腕に抱きつくな。暑い、鬱陶しい。
もちろん思っても口には出さない。あくまでポーカーフェイスを貫く。
「全然気にしてないよ。それより離してもらってもいい?荷物が落ちそうだから。」
肩にかけている荷物をわざと落ちそうに見せかけて、ニッコリと笑う。
てかリュウくんめっちゃ睨んでるよ。怖い怖い。
シュウくんはシュウくんでまた「嘘でしょ」って顔してるし。なんなの、この自意識過剰さは。
「シュウくん。」
「え、あ、ご、ごめん…」
強調するように言うと、動揺しながらも離れていくシュウくん。すかさずリュウくんがシュウくんの隣に移動する。
「二人はまたサボるのかな。ちゃんと授業出ないとダメだよ?じゃあ、僕は教室行くから。」
「あ、ま、…って……」
控えめに出された声に聞こえないふりをして歩く。
ヤバかったかな?またなんかやられるかな?
「ま、いっか。」
これ以上悪くなってもあんまり変わらないよね。
教室に入って、改めてそう思う。
息が詰まるほどの視線。それも冷たい。
囁かれる声。ひそひそというか、もうざわざわ。
僕はそれにあえて気づかないふりをして席に座る。そしてそのまま次の授業の準備をしてついでに予習をする。
気づかれないように教室を見渡すと、三つのタイプがいた。
僕を悪とみなして悪口を囁くタイプ。
僕が悪かどうかは別に興味がなく、ただネタとして面白がって笑うタイプ。
触らぬ神に祟なしとでも言うかのように一切関わらないタイプ。
どれも、くだらない。
と、視界にヒトミが映る。
睨んでる睨んでる。すごく機嫌悪そう。
そういえば、ヒトミはその三つのタイプのどれでもないな。
ヒトミは、信じたかったけど裏切られて憎悪を抱いてるタイプ。
これだけはどうしようもない。僕がそう仕向けたんだから。
胸のあたりがチクッと痛くなって、思わず俯いた。
ヒトミ。
ヒトミ。
ヒトミ。
──僕は、…
ガラガラガラ…
「授業始めんぞー。号令ー。」
紡ぎかけていた思いは、号令の声にかき消された。
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