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僕の最終通告
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改めて見たシュウくんは、僕の知っているシュウくんとかなりかけ離れていた。
いつも自信満々だった態度は欠片もなくなり、なにかに怯えているようみたいで。
媚びるような目つきもなくなり、どこか下を向いている目の下には濃いくまが出来ている。
そして、一人では立てないのかリュウくんの腕を掴んでいた。
僕を嵌めた時のシュウくんはどこにもいなかった。
「…お前が飛び降りた日から、ずっとこうなんだ。」
呟くように、リュウくんが言った。
「飯も口に入れない。お前を探してパニックも起こしたりする。学校に行ってもずっと保健室。教室や廊下に出ると視線を感じ過ぎて立っていられなくなる。」
シュウくんを囲んでた取り巻きは、全員離れていったんだっけ。
「…昨日も、パニック起こしたばっかなんだ。」
リュウくんがぐっと拳を握っている。
好きな人のすぐ隣にいるのに、何も出来ないって辛いよなぁ。
自分だけじゃ支えきれないって分かるのも。
「シュウくん。」
声をかけると、盛大なくらいびくりと体を揺らすシュウくん。
怯えながら恐る恐る顔を上げて、そして初めて僕を見た。
今の今まで僕がいると気づいていなかったのか、これでもかというほど目を見開いて僕を見てくる。
しばらくその状態が続いた。だから、急にシュウくんがこっちに来ても反応ができなかった。
肩を思い切りつかまれる。
「いっ…」
ギリ、と肩に指が食い込んで痛みが走った。
「アズマくん…!?夢じゃないよね!?生きてるよね!?」
一人では体重を支えられないのか、肩を掴む手に体重がのしかかった。そのせいで痛みが増していく。
痛い。怖い。嫌だ。
いや、違う。大丈夫、大丈夫。
大丈夫なんだ。
本当に?なんで大丈夫って言えるの?
「…ア、ラシ…!」
どこ、どこにいるの?
痛みだけに支配されていくようで、とてつもなく怖い。
「…っ!シュウ!!やめろ!!」
反応が早かったリュウくんがシュウくんを引き離し、少し離れたところに連れていく。
アラシはシュウくんを警戒して僕とシュウくんの間に入った。
「離して!ごめんなさい!!リュウ!離してよ!アズマくん、アズマくん、ごめんなさい!!!」
ひたすらその言葉を繰り返すシュウくんを見る。
怖い。彼自身じゃなくて、彼が起こす行動が。
でもきっと、一番苦しんでるのは彼だから。
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