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僕の最終通告
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「へーへー。分かったからさっさと休めヨ馬鹿。」
きっと誤魔化しの笑顔もバレてるだろうアラシがそう言うから、仕方なくベットに横になった。
「じゃあ、僕たち明日待ってるよ。昇降口まで迎えに行くから。そんで、僕もみんなに謝るよ。」
すっきりした様子のシュウくんはリュウくんの服を少し握りながら笑って言った。
服を握る手が震えてるのが目に入る。
当たり前だ。怖いに決まってる。
分かり合えたからと言って、トラウマが消えたわけじゃない。学校に行くのはやっぱり怖いんだろう。
それに、シュウくんが本当のことを言えば、きっと彼の今後の学校生活は普通には送れない。
それを承知で、言ってるんだ。
止めはしなかった。止められるはずがなかった。
これが、シュウくんの決意なんだから。
だってきっと、僕でもそうする。
「…分かった。」
ああ、きっとアラシも先生もこんな気持ちだったんだな。
何もしてあげられないもどかしさ。
「待ってて。必ず行くから。」
僕ができるのはそれくらいで、僕が掛けてあげられる言葉もそれくらい。
そのまま、帰っていくシュウくんたちを見ていた。
「…大丈夫だロ。リュウがついてンだし。」
アラシが言ったそれは明日のことか、それともこれからのことか、それともそのどちらもか。
どっちにしろ、僕の心の中の不安を見抜かれたのは確かだった。
「…大丈夫だよ。あの二人なら。」
口に出してからその言葉に安心した。
どんなことがあってもシュウくんのそばにいたリュウくん。
やっと本音を吐き出して乗り越えられる強さを見つけたシュウくん。
二人だったから乗り越えられた道のり。
「…うん、大丈夫だよ。」
不思議な確信を抱きながら、もう一度そう呟いた。
いつの日か、あの二人にも光が射しますように。
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