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僕の最終通告
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ホントは、ずっと知りたかった。
たった一人の父親。
でも、それを知ってるのは、一番傷ついてた母さんだけだったから。
言えるわけなんて、
どこにも
「…僕の方こそ、ありがとう。父さんのこと教えてくれて。ずっと知りたかったんだ。」
きっとこんな状況じゃなかったら聞けなかったんだろう。
今までの人生でほんの少ししか聞いたことなかったんだ。
僕がこんな病気になって、だからこそ起こり得た奇跡。
「僕、母さんのこと大好きだよ。自慢の母親だもん。」
もしかしたら、僕の病気は運命だったのかもしれない。
だって、たくさんの事に初めて気がついた。
気づかないで一生を送っていたかもしれない、小さな小さな。
でも、世界を彩るとても綺麗な──。
ズキ、
「…っ」
でも、それは泡沫の時間。
僕にはもう、変えられない運命が待ってる。
だから、それまでのあと少しを大切に生きなきゃ。
大切に。
大切に……
って、あれ?
「…あれ、母さん。この道違くない?」
ふとした疑問。でもそれは、焦りとなって体を駆け巡る。
「えっ?あっ、話してたら全然違うところに来てるわ!もう随分前に通り過ぎたみたい!」
マジか!
時間を見れば、あと少しで朝のHRが終わる時間。
リュウくんとシュウくんが待っててくれてるのに!
「ごめんねアズマ!今から急いで向かうから。」
「うん、お願い!」
思わず胸を抑えてそう言った。
焦りと不安と、それから少しの痛み。
僕はただ、無事に終われるように祈ることしか出来なかった。
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