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僕の最終通告
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急いだおかげもあってか、思っていたより早く学校に着いた。
とは言っても授業は始まっているし、当然昇降口にシュウくんやリュウくんの姿は見えなかった。
謝る母さんに大丈夫と告げて車椅子を作動させた。
「本当に大丈夫だよ。送ってくれてありがと。」
何回目になるか分からないその言葉を吐いて、やっと車で帰っていった母さんを見届ける。
「…あとは僕が頑張るんだ。」
校舎を見上げながら口に出す。
車椅子に掛けたバックには、筆箱や財布と一緒にあの注射も入っている。
僕は今日間違いなく死を見る。
でも、ここを死に場所にしちゃいけない。
ここで生きていくみんなのために。
それは、ここまでしか生きられない僕には見れない景色。
そこまで生けない僕が犯しちゃいけない世界。
だから、僕は
「何か、残していけるかなぁ…」
僕にできることって、何なんだろう。
今更わからなくなったその答えを探しながら、僕は教室へと車椅子を進めた。
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