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僕の最終通告
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「アズマ!大丈夫か!?」
ヒトミが僕の体を支えながらそう言ってくれるだけで、あれだけ苦しかった呼吸も引いてしまう。
ヒトミは魔法使いなのかな。
隣にいてくれるだけで、こんなにも安心する。
「…みんなに言わなきゃいけないことがあるんだ。僕の、これからについて。」
もう怖くない。吐き気も、何も。
僕からみんなへの、最終通告。
「……僕は、もうすぐここからいなくなります。」
一瞬の静寂。
そこから広がる疑問の声。
どういうことだろうと言い合う声。
転校か?
そんな声も聞こえる。
「もう僕は歩くことが出来ないし、車椅子がないと自分で移動することも出来ない。」
それは、やがて静かになっていって。
「もう、春に咲く桜も、卒業式も、大人になっていくみんなを見ることも、僕には出来ない。」
僕が何を言いたいのか、だんだんみんな分かっていく。
そう。
「僕は、もう生きていられない。」
言ってる途中から、僕を支えるヒトミの手に力が入っていったのを感じてた。
ヒトミが嗚咽をこらえる音も、聞いていた。
それでも、変えられない事実だから、
だから。
僕には、僕に出来ることを。
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