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遊園地デート7
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……寒い、暗い、狭い…揺れて気持ち悪い…
自分が誰かも分からない、どこにいるかも分からない
移動はすべて箱の中に入れられていて、どこをどう通ったのかも分からない
分からない事が自分がどれほど孤独なのかを教えていた
あの女に捨てられて、奴隷商人と言われていた男に連れてこられたのはどこか分からない調理場
俺を奴隷商人から買ったと思われる男の話してる言葉さえ理解できない
殴られるか、冷たい水で皿を洗う毎日だった
それでも3日に一度はパンがもらえたし、何もないくて狭いが部屋が与えられていた
それから1年後ぐらいたった頃だろう
言葉もそれなりに理解出来るようになったし、料理もさせてもらえるようになった
相変わらず殴られたり蹴られたりされていたが、もう二度と捨てられる事のないように必死になって仕事した
だけどダメだった
最後に俺が男から聞いた言葉でやっぱり俺の居場所なんてどこにもないと再確認させられた
『お前みたいなクズ買うんじゃなかった!
全然言葉は分からねー、仕事はできねー、とろい、鈍臭い、猿だってもっと使えるんだよ!
だからさっさと消えろ!』
そこから追い出された俺は路上で過ごした
もちろん食べる物もなくて、着てる服はボロボロの俺を見て誰も助けてくれる人なんていない
…苦しい、お腹減った…また捨てられた
追い出されてどれぐらい経ったか分からないが、土砂降りの雨の日だった
そんな時に現れたのは真っ黒な傘、真っ黒なスーツを着て、雨の日なのにサングラスをかけた男だった
『お前、必要ない人間か?』
はっきりと俺に向かってそう言った
怪しい男にこんな事問われたら普通の子供は泣き出すだろう
だが、俺は喜んだ
誰にも声をかけてもらえなかった俺は簡単にその男について行った
俺が連れて来られたのはトラックだった
トラックの中を開けるとそこには俺と同じ又はそれより少し大きい子供がたくさんいた
どの子供の顔も死人みたいな顔色で、表情はなく、目がうつろだった
両手、両足に手枷がはめられており、足には鉛まで付いている
その光景を見た俺は恐怖で頭が真っ白になったが、自分もこうなる、馬鹿な頭でもそれだけは理解できた
すでにさっきまでいたサングラスの男の姿はなく、違う男が俺に手枷をつけようと近づいてくる
怖くなった俺は震える足を動かした
雨が降っていて裸足の俺は寒さと恐怖で体が思うように動かない
それでも捕まりたくない俺は必死に走った
後ろから複数の人間が追ってくる
『いたぞ!捕まえた!』
幼い子供の足ではすぐに捕まった
誰か!助けて!
…………誰か?
誰かって誰?……そうだ、俺には誰もいない
そう自覚した途端周りが真っ黒になり、そこには俺しか立っていなかった
「蓮!起きろ!」
誰かの切羽詰まった声が聞こえて、慌てて飛び起きた
昼間の幻覚の続きを夢で見ていたせいか、心臓はバクバクと動き、息が切れ、汗びっしょりだった
「蓮、大丈夫か?」
夢の中では誰もいなかったが、会長が視界に入り安堵する
「大丈夫です」
会長さえ居てくれれば俺は何にも問題ない
……本当に現実だよな?
まさかこっちが夢で、本当に目が覚めたら会長がいないなんてことないよな?
俺の不安が伝わったのか、会長は俺を寝させぎゅーと抱きしめて背中をあやすように叩いてくれた
「大丈夫だ、俺はここにいるから心配しないで寝ろ」
「っ!」
なんで俺の欲しい言葉が分かったんだ⁈
まさか会長はエスパーだったのか⁉︎
あぁなら納得だ
道理で俺が出来ない事をいつも出来るようにしてくれる筈だ
そんな馬鹿な事を考えながら、俺ははこの言葉に安心して目を閉じて意識を手放した
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