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真実3 晃side
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晃side
あれだけの事をして息ひとつ乱してない蓮はニコリと綺麗な顔で笑い何も言われなかったような顔をしている
なんで笑ってんだよ!
「負け戦と分かってて挑んできたのはそっちです
俺の実力が知りたかったのでしょう?」
「フンッ人間兵器として人体実験されただけあるってか?」
にんげん、へいき?
耳ではちゃんと聞き取っているのに、頭で理解できない
こいつは何を言っている…人体実験?
「………」
「その細腕で人間を気絶させるだけの腕力だけじゃなくて脚力、視力、聴力まで弄られてんだろ?」
弄られた?
「人として扱われず、モルモットとして扱われる気分はどうだった? 実験は痛かったか?その後の人間兵器としての訓練は辛かっかったか?
…んで、お前何人殺したことあんの?」
っ!
さっきは理解できなかった言葉の意味が、大鷲の質問によりこういう事だと思い知らされる
「……」
「はっ、殺しすぎて覚えてないのか?」
!
息も詰まりそうな空気にも関わらず、蓮は呆れの溜息を吐いた
その様子はやれやれと言わんばかりだ
「人聞き悪い事言わないで下さい
俺が直接手を出した事はありませんよ」
それに対して大鷲は意外そうな顔をした
「…お前は研究者達を怨んでねぇのか?裏で手を回してた奴らが憎くねぇのか?」
蓮の目に憎しみや怨みなどの感情が全くといってないように見えるからそう聞いてるのだろう
「…過去があるから…人間兵器としての経験があるから大切な人を守る事が出来る」
「はははっだから憎んでねぇってのか⁈」
自嘲気味に笑う蓮に大鷲は馬鹿にするように言った
「そもそもお前が人間兵器じゃねぇなら俺はお前に目をつけなかったし、こんな事にもならなかったてぇのに?
随分な皮肉を言ってくれるじゃねぇか!」
蓮は大鷲なんかに言われなくても分かっていたのだろう
さっきの自嘲はそう言う事だ
でも、それは蓮が悪いわけじゃない
「それでも、現に俺がいる時は虎賢にも手を出さなかったじゃないですか」
ニヤリと勝ち誇ったように蓮が笑った
「チッ」
「ちゃんとご自分の立場を理解しているようで助かりました
あんたは俺に勝てない、大人しく手を引て2人を返せ」
「くっ、ここで2人を殺すつってもか?」
「ここで花園家と九十九里家に手を出せば、どうなるかぐらいあんたは分からないほど馬鹿じゃない筈だ
だから2人を交渉に使わないんだろ?」
「…この2人を人質にとってお前を自由に動かす事が出来りゃあ関係ねぇだろ?
お前なら花園家と九十九里家ぐらいどうにかできんだろ」
大鷲の腐り切ってる考えに嫌気がさす
こんな奴の言いなりになりたくもなければ、蓮のお荷物にもなりたくはない
「…確かに2人の家を潰す事は出来ますが、そうなれば俺はここで自殺しますよ」
!
本気だ
蓮が冗談を言ってる訳ではないことが真剣な表情で分かる
「…お前のそーいう自分が死ぬ覚悟がある所が気に入っていたんだが、裏目に出たか…」
苦々しく呟いた大鷲に蓮は「光栄です」なんて返している
どこが!光栄なんだっつーの!
「じゃあ、どの道お前は死ぬのか…もったいねぇな
悪く思うなよ?俺の組に入らなければ殺せって言われてんだ」
っ!
「死ね」
「動くな」
!?
大鷲が拳銃の引き金を引こうとした時、地の底から這うような声が大鷲の横で聞こえた
驚いてそちらに注目すると大鷲のすぐ横にフードを目深に被った男?が大鷲に拳銃を突き付けていた
誰だこいつ?
下から見上げて見ているからフードの中の瞳がギラリと光ったのが見えた
その瞳の色は血の様に赤かった気がした…
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