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まだ早帰りの放課後、下駄箱に行くと小野寺くんが待っていて、帰路が同じだから一緒に帰りたいと言ってきた。
「 え、嫌だけど。」
「 正ちゃん!...もう。ごめんね小野寺くん。一緒に帰ろっ。」
即答で断る正ちゃんを窘め、小野寺くんにそう言うと、嬉しそうに笑って「はい。」と返事をして靴を履き替えに行った。
「...んで一緒に帰んねぇといけねぇんだよ。アイツの話し聞くの、超ー面倒臭ぇ。」
心底ウンザリした顔の正ちゃんに苦笑し、靴を履き替えると、小野寺くんと3人で帰路を進んだ。
「...いっつも手、繋いで帰るんですか?」
僕たちの繋いだ手を見て、びっくりしてる小野寺くんに、そんなに驚く事かな?とついキョトンとしてしまう。
男同士だからかな?って思うけど、正ちゃんを格好いい、格好いいと言ってる小野寺くんは、そういう事気にしなさそうと勝手に思ってる。
「...あ、すみません。佐倉先輩が誰かと手、繋いで歩いてる所、見た事無かったからビックリしちゃって...。」
そうなの?と正ちゃんに聞くとバツが悪そうな顔をしてる。
駿の言う通り正太郎は今まで付き合ってきた人と、手を繋いで歩くなどと歩き難くく、まどろっこしい事はしてこなかった。
それなのに、巫女都とは必ず手を繋いで歩くのは、それだけ側に置いておきたいし、何よりも大切な存在で、その冷たい手に安心感さえ覚えるからだ。
「...あー、繋いでねぇと、歩幅が合わねぇんだよ。」
それも確かに事実だけど、正ちゃんの顔がちょっと恥ずかしそうで、取って付けた言い訳なんだなって思う。
純粋に嬉しいと思った。正ちゃんが今まで付き合ってきた人にしなかった事を自分にしてくれていると思うだけで特別視されているような気がした。
正ちゃん大好きっ。
小野寺くんがいる手前、表立って言えない言葉をニコニコしながら内心で告げると、目が合った正ちゃんがフッと笑い、頭を撫でてくれて嬉しさは更に増した。
「...本当に付き合ってるんですね。佐倉先輩が同性と付き合うなんて思ってもみなかったです。なんか、色々ビックリ...。」
「 同性とか関係ねぇよ。巫女だから付き合ってんの。...つかお前いい加減うっせぇ。一緒に帰りてぇんなら黙ってろ。」
途端に肩を落として落ち込む小野寺くんを見て、正ちゃん!と叱る。
「 ねぇ、小野寺くんは正ちゃんとどんな接点があるの?」
ずっと疑問だった事を尋ねると、小野寺くんはもじもじと恥ずかしそうにしながら、
「...絡まれてる所を助けてくれたんです。」
「 ...正ちゃんが?」
「 はい!後日、クラスの女子が佐倉先輩見て騒いでたから名前知って、お礼言いに行ったんですけど、覚えてないから別にいい。ってサラッと言われて凄っい格好よかったぁ!」
思い出してウットリする小野寺くんにへぇ~、と頷くと正ちゃんが繋いでる手をぐいぐい引っ張る。
「巫女、ちゃんと聞いたか?俺、超ーいい奴じゃね?」
にんまり言ってきた正ちゃんにエライ、エライと背伸びで頭を撫でた。
正太郎は全く覚えて無いが、実際は通り道を塞がれていて邪魔。と声を掛けた所、絡んでいた者達の反感をかって、面倒臭いのでぶっ飛ばしたというのが真相であるが、駿にはそれが美化されていて、正太郎が自分を助けに来てくれた正義のヒーローのよう見えている。
駿は正太郎への憧れから恋心を抱くようになったが、とっかえひっかえ彼女を変える正太郎が男など、況してや自分など相手にする筈が無いと半ば諦めていた。
...イメチェンまでして、佐倉先輩追ってこの学校来たのに...。...桐谷先輩と、
正太郎の周りにいる人達が、学校でも目立つ存在の人ばかりなのを見て、外見だけでも派手にして少しでも正太郎に近づきたいという気持ちがそうさせた。
それなのに、傍目から見ても正太郎に溺愛され、尚且つ完璧とも言える容姿を兼ね備えた巫女都が、正太郎の隣で笑ってる。
自分はこんなに努力しているのに。とこの時駿の中にどす黒い嫉妬心が生まれていた。
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