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「...たく、富セン話し長げぇよ...。」
漸くお説教から解放され教室に戻ると、巫女が居ない。大沢が言付けを頼まれたと、巫女が屋上に居ることを教えてくれて俺は屋上に向かった。
...一々呼び出し応じなくてもいいだろが。面倒臭ぇ...。
そう思いながら歩みを進めると、屋上の扉の前で佇む小野寺を見つけ声を掛ける。
「...なにやってんだ、お前」
「 わっ!? ...あ、佐倉先輩...。...今、中に入らない方がいいですよ!」
挙動不審な小野寺にああ?と訝しげな顔をすると、眼を泳がせる。
「 ...なんでだよ?」
「 ...えっと、...桐谷先輩が知らない人とキスしてるとこ...見ちゃって...」
なんだと!?何処のどいつにされてんだ!!
小野寺の言葉にカッと頭に血が上り、バンッ!と勢いよく扉を開けて中に入ると、シンに抱き締められてる巫女が目に飛び込んできた。
シンっ......、あの野郎っ!!
俺は足早にそこまで行くと、シンの後ろ襟首を掴みグイッ!と引っ張り倒した。
「 このくそ野郎っ!! なにしてやがんだっ!!」
「 正ちゃんっ!? 違うっ!違うからっ!!」
慌てて腕にしがみつき止める巫女を振り払う。
「 うるせぇ!! おとなしく抱き締められやがってっ!!なんのつもりだっ!!」
「違うっ、正ちゃんっ!!話し聞いてっ!!」
ブンブン首を振り、そう言う巫女の言葉を無視すると、
「 ...シンとキスしたのか?」
「 してないっ!!そんな事してないよっ!!ねぇ、正ちゃん、話し聞いてっ!!」
尚も話を聞いてと追い縋る巫女の言葉は、既に怒り心頭で我を忘れた俺には届かず、カッとなってつい、
「...そうやって誰にでも良い顔してっから誰かの反感かって、嫌がらせなんかされんだよっ!!」
「 っ!!? 」
「 おいっ!? 正太郎!!いい加減にしろっ!!」
先程までの事を正ちゃんは知らない。分かっているけれど、正ちゃんにそう言われ、傷つき愕然とした。
先程までの恐怖と心に出来た小さな傷が綯い交ぜになった僕は、顔を歪ませて正ちゃんを見つめる。
「...誰にでも良い顔なんてしてないっ、...辛い時は辛いって言えって言ったの正ちゃんなのにっ...、辛くったって、話しも聞いて貰えないんじゃ、何にも言えない!正ちゃんになんか、何にも話せないっ!!」
「 巫女ちゃん!」
吐き捨てるように言うと、震える脚を心の中で叱咤して僕は駆け出す。泣きそうだった。本当は縋り付いて感じた恐怖を払拭して欲しかった。慌てて自分を呼ぶ柿崎くんの声が聞こえたけれど、振り返る事も、謝る事も出来ず、ただこの場から一刻も早く立ち去りたかった。
......やっちまった。
悲痛に歪む巫女の顔を見て、俺は後悔する。
あの嫌がらせで巫女がどんだけ傷つき、苦しんでいたか分かってながら、頭に血が上ったとはいえ、心にも無い言葉で巫女を更に傷つけた。詫びの言葉も見つからず、俺は巫女を追えずにいる。
「 おい、正太郎っ!追いかけろよっ!!」
そう促すシンを一瞥し、まだ冷静でない頭が聞かないと決めていた言葉を口に出させた。
「........巫女の事、...好き......なんだろ?」
「 っ!? 」
俺の言葉に明らかに動揺したシンを見て、やっぱりなと思うと同時に、さっき巫女を抱き締めていたシンの姿を思い出すと、複雑な感情が押し寄せてくる。
「........好きだ。けど、巫女ちゃんにこの気持ちを伝える気はない!況してやお前から奪おうなんて微塵も考えてないっ!!」
...だよな、端からんなの分かってたはずなのに。
叫ぶよう言ったシンの言葉に、自分がどれだけ嫌な奴か思い知ったきがする。俺はシンの気持ちを暴いて、予防線を張ったんだ。
その言葉の通り、コイツはそんな奴じゃないと知りながら、己の保身の為にシンに自分がその気持ちを知っていると単に知らしめただけだ。
...っとに最低なくそ野郎だな、俺は...。
自分の言った言葉を悔いて、己を恥じた。
「 ...悪りぃ、シン。分かってた。お前がそういう奴じゃねぇって、ちゃんと分かってたのに頭に血ぃ上てた...。マジで、...悪かった、」
深々と頭を垂れる俺をシンは苦笑してる。
「 あのお前見たらそんぐらい分かる。気にしてねぇよ。...それより、巫女ちゃん追ってやれ。...レイプされそうになってたんだ、巫女ちゃん...」
「 はっ!? ......嘘だろ、」
「 ...いや、マジで。3人がかりで抑えられてた。巫女ちゃん1人だったから、気になって着いて来たんだ。...お前呼びながら助けてって言ってた。なんもされてないとは言ってたけど、怖かったと思う。早く行ってやれ。」
「........悪りぃ、」
それだけ呟くと俺は巫女を追って駆け出した。
俺のくそ大バカ野郎!!...巫女、ごめんっ、
焦りが募る中、俺は心の中で何度も巫女に謝ってた。
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