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選手に選ばれたメンバー11人で、ポジション決めなどの最終打ち合わせをしている。
「じゃあ、桐谷はDFね。一応戦術としてはトータルフットボールでいこう。」
...DF?トータルフットボール?
大沢くんの話しを真剣に聞いてウンウン頷いているが、俄ファンの僕にはチンプンカンプンだ。
「 巫女分かったか?」
「 ううん、全然分かんない。」
首をフルフル振って答えた僕を、正ちゃんは呆れ顔で見ている。
「巫女はキーパーの側で守りを固めてろって事。で、トータルフットボールつーのは、ポジションは一応決めるけど、全員攻撃全員守備って事。」
「 成る程ぉ~。」
正ちゃんが賢く見える。守備を固めて待ってるのなら僕にも出来るかもしれない。
...いざとなったら大沢くんに全てを託そ。
GKの大沢くんの手をがっしり掴みしっかり頼む。
「 僕を守ってね!」
「......いや、俺はゴール守るから。」
...つれないなぁ。いざとなったら、避けよ。
僕のサッカーへの意気込みは皆無だ。
試合が始まり持ち場に着けと言われ、軽く走って行くと、
「......巫女、アッチだから。」
「.....................。」
正ちゃんが指差す遥か彼方に大沢くんがいる。
僕の斜め後ろには、他クラスのGK。
正ちゃんにヘラっと笑うと、元来た道を戻った。
...恥ずかしい。しかも無駄な体力使ったぁ~。
笛の音と共に皆一斉に動き出し、よもや僕にはボールが何処に有るのかさえ分からない。
「 おい桐谷、おまえも上がれ!」
斜め後ろで大沢くんにそう言われ、ヘラっと曖昧に笑う僕。
「 絶対無理っ!」
あんなワチャワチャしてるところに入ったら、邪魔以外の何者でも無くなってしまう。
...兎に角存在感を消そう。
既に僕は一番近くで、観戦しているだけの人に成り下がっていた。
前半戦は、ボールがセンターラインを殆んど越える事無く終了し、僕が安堵していると正ちゃんが頬をつねってきた。
「 痛ぁ~いっ!!」
「 こらっ!!トータルフットボールだっつっただろうがっ!!」
「 .................大沢くん淋しいかと思って。」
僕の下手な言い訳は通用せず、作戦会議では無く、殆んどの時間をお説教に費やされた。
後半戦が始まり、前半で僕のクラスが2ゴール決めている事も有り、相手の士気は落ちてるように見えた。
先程受けたお説教も何のその、僕は持ち場を離れず、ボールには一度も触ってない。
「巫女ちゃーん!」と智くんの声が聞こえて笑顔で手を振ると、身振り手振りで何かを示唆してる。
......ん?...なんだろ?
僕がキョトン?としていると「 巫女っ!!」と正ちゃんの声が聞こえてそちらを向いたら、目の前にボールが飛んできた。
「 痛ぁーっっ!!!!」
「「 あ"ぁぁぁーっ!! 」」
一応、顔面にぶつかるのは避けられたものの、振った頭にズザッ!!と擦るように当たった硬いサッカーボールは、勢いもあったからかなり痛い。
ぶつかった頭を擦り擦り顔を上げると、大沢くんの後ろに転がってるボールを眼にして僕は固まった。
「 ...えっ、嘘。ゴール決めちゃった?」
「「 オウンゴールだバカたれっ!!」」
「 だってぇ~、」
こうして最初の試合は4対1で勝ったが、僕のオウンゴールで失点した事に正ちゃんのみ為らず、大沢くんにまでお説教される事となった。
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