アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
42
-
巫女都と正太郎は、学校帰り駅で電車を待っている。
「 巫女、帰り兄貴のとこ、寄ってきてぇんだけど。」
「 ん? 良いよ。琥太ちゃん家行くの久し振りかも!」
琥太郎は自堕落な生活を送っている上、バイト先の女に片っ端から手を付けてクビになり、お袋に泣きを入れて金を出して貰いそれを俺が届けるハメになった。
...出ねぇな。
琥太郎の住む駅で降りると、俺はアイツに電話したが中々出なくてイライラしてると、漸く電話が繋がる。
『 あー、正太郎、悪りぃけど、後30分くらいどっかで時間潰してきて!』
...野郎。人にモノ頼んどいてなにやってやがんだよ...。
琥太郎の息は荒いし、後ろからアンアン聞こえる。女が原因でクビになったにも関わらず、全く懲りてない琥太郎に俺は呆れた。
「...つか早くしろ。じゃ。」
電話を切ると、巫女が小首を傾げて見てる。
「 琥太ちゃん居ないの?」
「 あー、...取り込み中。」
「 ふーん。」と更々取り込みの内容に気づいてない巫女を連れて、俺は駅前の小さなカフェに入った。
巫女は、タルトタタンとバニラアイスがセットになったデザートプレートを頼むと、トイレに行ってくると席を立った。
正太郎を残しトイレに入ろうとしたところ、巫女都は後ろから声を掛けられ、振り返った先に居た人を見て、目を大きく見開く。
.....嘘!びっくりしたぁ~。
振り返った先に居た女子高生は、僕にそっくりだった。よく見れば違うものの、顔のパーツパーツが割りと似ていて、パッと見だとドキッとするくらい似てる。
「 急にごめんなさい、でも余りにも自分に似てたから、ビックリしちゃって!...しかも、男の子なんだね?」
「...うん。僕もビックリした。」
フランクな感じで話し掛けてきたその子がもう少し話したいと言うので、先にトイレに行かせて貰い、出るとその子と一緒に僕たちの席に行った。
「 正ちゃん、見てっ!」
僕の声でコチラを見た正ちゃんが、唖然として僕とその子をキョロキョロ見てる。
ふふ、ビックリしてる!正ちゃんが驚くくらいじゃ、相当似てるんだなぁ~。
さなちゃんと名乗ったその子が少し一緒しても良いか聞くのに僕たちが頷くと、自分のテーブルに居た友達に声だけ掛けて一人で戻って来る。
「...よく見りゃ別人だけど、双子みてぇだな。」
巫女よりタレ目気味で左目に泣きボクロがあるし、茶髪のロングだけどよく似てる。
にこにこと話すさなに俺はつい巫女を重ねているようで、初対面にも関わらず、親近感が湧いていた。
そんな正太郎の様子を見ていた巫女都は、少し不安げな顔をしている。
さなちゃんと話す正ちゃんは、僕と話す時と然程変わらない感じで話してる。時折笑う正ちゃんのその顔が、普段人前では見せない僕に向ける笑顔と同じで少し胸が痛んだ。
...妬きもちなのかな。
さなちゃんに嫉妬してるんだと気づいたら、そんな自分がちょっと嫌になる。
「...正ちゃん、そろそろ時間だよ?」
カフェに入ってから1時間以上経っていて、琥太ちゃんを理由に僕は正ちゃんを連れ出そうとした。
「 あ、じゃあ、連絡先交換して?」
さなちゃんが正ちゃんに番号を聞き、僕はそれを何となく嫌だなって思ってた。
「 ...あー、悪りぃけど、付き合ってる奴いるから、番号は交換出来ねぇわ。」
正ちゃんの言葉に、僕が物凄くホッとしたのも束の間、「また会いたいのにぃ。」とさなちゃんに言われた正ちゃんが、
「 じゃ、明後日の同じ時間にまたココ来るよ。」
......なんで?
最寄り駅でもない。況してや初対面の子に言われてどうしてそれを聞き入れるんだろう。と、僕は焦燥感が募った。
きっと今、僕は酷く嫌な顔をしてるに違いない。
そう思ったら、居たたまれなくなって、ちょっとトイレ!と席を立った。
鏡に写る僕は、やっぱり酷く歪な顔をしていて、正ちゃんの前でにこにこと笑うさなちゃんとは、今は似ても似つかない顔をしている。
僕は顔を洗ってトイレから出ると、席に戻る途中その光景を見て固まり、再度トイレに舞い戻った。
........なんで...、
さなちゃんが正ちゃんにキスをしていた。
角席で、他人からは見えないような場所で、さなちゃんはさっき僕が座って居たところにわざわざ移動している。
その時点で、正ちゃんは何か違和感を覚えなかったのかなと、僕は疑心暗鬼に陥った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
42 / 301